【五輪ゴルフ】馴染みが薄いコース、国旗を背負って戦う重み…シェフラー、シャウフェレ、松山ら豪華メンツでも「メダル予想困難」のおもしろさ

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近年の五輪でゴルフ競技は2回のみ

 パリ五輪のゴルフ競技は、男子は8月1日から4日の4日間、女子ゴルフは8月7日から10日の4日間、パリ南西に位置するル・ゴルフ・ナショナルで開催される。

 国際ゴルフ連盟が発表した五輪ランキングに基づいて選出された男女各々60名が4日間72ホールのストロークプレー個人戦でメダルを競い合う形式で、日本からは男子は松山英樹と中島啓太、女子は笹生優花と山下美夢有が出場する。

 実を言えば、ゴルフと五輪の関係は少々複雑で、ゴルフが五輪競技の1つであることは、一般的にまだあまり認識されていない感がある。というのも、近年の五輪でゴルフ競技が行われたのは、2016年リオ五輪と2020年東京五輪の2回しかないからだ。

 だが、五輪においてゴルフ競技が「新参者」なのかと言えば、そういうわけでもなく、むしろ五輪とゴルフの関係の始まりは100年以上前まで遡る。

かつては盛り上がっていた五輪ゴルフ

 五輪の第1回大会は1896年にアテネで開催されたが、当時はギリシャにゴルフコースが無かったため、ゴルフ競技は行われなかった。

 だが、1900年に開催されたパリ五輪では、ゴルフ競技が初開催され、男子は36ホール、女子は9ホールのストロークプレー個人戦で競われた。金メダルを獲得したのは、男子は米国 出身のチャールズ・サンズ、女子は米国出身のマーガレット・アボットだった。

 1904年のセントルイス五輪でもゴルフ競技は行われたのだが、女子ゴルフは消滅し、男子ゴルフはストロークプレー団体戦とマッチプレー個人戦という形式に変わった。

 個人戦で金メダルに輝いたカナダのジョージ・ライオンは、喜びのあまり、祝勝ディナーのダイニングルームの長い廊下を逆立ちで練り歩き、人々を狂喜させたという武勇伝が残されている。

 そんなふうに当時は、ゴルフ好きの人々は五輪のゴルフにヒートアップしていた様子だが、世界的に見れば、それは本当に一握りの人々にすぎなかったのだろう。

 その証拠に、1908年のロンドン五輪では「関係者の意見の相違」によって、ゴルフ競技は実現しなかった。1912年ストックホルム五輪では「ゴルフ人気が低すぎる」という理由でゴルフ競技は除外され、1920年のアントワープ五輪では「エントリー不足」により、ゴルフ競技は行われないことになった。

 そうやって、五輪におけるゴルフ競技は自然消滅してしまった。

 しかし、ゴルフ人口が増え、プロゴルフ界を中心にゴルフ人気も高まっている現状を目にして、「ゴルフを五輪競技に復活させよう」という動きが起こり、それが実現したのが2016年のリオ五輪だった。

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