【柔道誤審問題】「日本人は礼儀を忘れた」 現地メディアが驚いたポイントと同情したシーン
パリ五輪の柔道競技で、日本選手を巡る2つの出来事が大きな話題となっている。ひとつは男子60キロ級・永山竜樹の“誤審”騒動、ひとつは女子52キロ級・阿部詩の敗戦後の“大号泣”だ。日本ではファンがその是非を熱く語っているが、現地・フランスでは両件はどのように報じられているのだろうか。
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カオスな準々決勝
フランス在住のジャーナリストが言う。
「フランスでは柔道は“第二の国技”と言われるほどの人気競技です。競技人口はラグビーより多く、これまでの五輪でのメダル獲得数もフェンシングに次いで多い。それゆえ、フランス選手の勝敗を中心に大きな関心を集めています」
柔道競技が始まった27日、永山は準々決勝で開始2分過ぎ、締め技をかけられた。審判は“待て”をかけたが、対戦相手のフランシスコ・ガルリゴス(スペイン)はそのまま6秒間締め続け、ようやく離れた時には永山の意識は落ちて一本負け。これを不服とした永山は握手をせずに畳を降りた。日本ではSNSなどで審判に対する批判が相次ぎ、ガルリゴスのインスタに抗議のメッセージが殺到する騒ぎとなった。
現地ではこの件について客観報道に徹している。例えば大手紙「ル・パリジャン」のWEBサイトでは、
「首絞め、握手拒否……日本の柔道家、永山のカオスな準々決勝」
と題し、
「日本人の側では明らかに混乱が見られた。相手が差し出した手を拒否し、畳を出るのに長い時間がかかった。観客は彼が審判の判断を理解していなかったことを理解した」
と報じている。
パレスチナ問題になぞらえて
「フランス選手が関係していませんし、誤審であったかどうかは評価が難しいことから、他のメディアも事実をそのまま伝えるのが主。判定の是非についての言及はほとんどありません」
むしろ驚きを持って受け止められたのは、敗北後の永山の所作だったという。
左派系新聞「リベラシオン」のWEB版では、「日本の柔道家が礼を拒否する時」とのタイトルで、「スタンドは唖然とした。日本で礼儀作法が大切だということを知っているからだ」と伝えている。
「フランスでは、日本人は礼儀正しいというイメージが強く、礼儀作法を学ばせるために子どもを柔道場に通わせている人も多い。その日本選手ですら握手をしなかったということが驚きを持って語られています。“真面目なフランス人”がニュースになるのと同じように、“礼儀を忘れた日本人”というのが話題になっているんです」
同紙はその驚きをパレスチナ問題が関係した過去の勝負になぞらえ、以下のように記している。
「2016年のリオ五輪での戦いの終わりに、重量級のエジプトのイスラム・エルシェハビがイスラエルのオル・サソンとの握手を拒否した論争を思い出した」
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