ペアローンを最も好むのは「東京」よりも「山形」、変動を避けるのは…? 「住宅ローンの県民性」をデータで分析

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ペアローンを好む山形

 金利タイプの他にも、最近にわかに注目を浴びている「ペアローン」にも地域差が見られた。

 2024年1月〜6月のモゲチェック利用者26758名を対象に算出された、「都道府県別のペアローン比率」によれば、全国1位は意外にも東京都ではなく、山形県で33.1%という結果に。

 2位は島根県で30.3%、次いで東京都で28.9%、岩手県の27.7%、高知県の26.6%、奈良県の26.5%、福井県の26.4%、沖縄県の23.8%、神奈川県の23.7%、新潟県の23.6%というのが上位10都道府県別の顔ぶれだ。

 ちなみに、最も比率が低かったのは三重県の10.5%。岐阜県も11.8%、山口県は13.0%という結果だった。

 あくまで特定のサービスの利用者の集計である点は留意すべきだが、1位の山形と47位の三重で約3倍の開きが出るのは興味深い。このデータは何を示唆しているのだろうか。

「共働き比率とペアローン比率には一定の相関が見られそうです。総務省統計局が2017年に公表したデータによれば、全国の共働き世帯の割合は48.8%で、比率の高い順に上位3つを並べると、福井県が60%、山形県が57.9%、富山県が57.1%となります」(同)

 確かに、ペアローン比率と重ね合わせると、富山県こそ16位だが、福井県は7位、山形県は1位となっている。

「全体で見ると、太平洋側よりも日本海側の都道府県の方が共働き比率、ペアローン比率ともに高い傾向にあります。推測ですが、日本海側の方が祖父母と共に暮らす3世代世帯の比率が高いので、子どもをおじいちゃん、おばあちゃんに預けて両親が働きに出やすいという事情があるのかも知れません」(同)

 実際に、ペアローン比率1位の山形県は、2022年のデータで3世代世帯の比率が全国1位(全国平均5.9%に対し、19.3%)という結果も出ているのだ。

 とはいえ、なぜ三重県のペアローン比率が低いのかなど、まだまだ不明点も多いこのデータ。あくまでご参考までに……。

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 この記事の前編では、7月30、31日の両日に開かれた日銀の金融政策決定会合を経た、今後の変動金利の先行きについて、同じく住宅ローンアナリストの塩澤崇氏による解説を伝えている。

デイリー新潮編集部

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