日銀がついに「実質ゼロ金利」解除を決定! 住宅ローンの“上昇ドミノ”は起こるのか

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 7月30、31日の両日に開かれた日銀の金融政策決定会合で、ついに実質的なゼロ金利政策の解除が決定され、政策金利は0.25%へと引き上げられた。これに先駆け、7月22日にはソニー銀行が変動金利の基準金利を0.2%引き上げており、住宅ローンを抱えるユーザーの間では“連鎖引き上げ”に対する不安が高まっている。変動金利の今後の動向について、専門家の見通しは――?

(前後編の前編)

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ソニー銀行が0.2%の金利引き上げを発表

「日銀会合を待たずしてのソニー銀行の利上げ発表には、その意図をはかりかね、首をかしげる関係者も少なくありませんでしたが……」

 そう話すのは、住宅ローンアナリストで、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営する塩澤崇氏だ。

「2016年に日銀がマイナス金利政策へと舵を切った際、そもそもソニー銀行は他行と比べ基準金利を一段と引き下げたという経緯があります。今回はマイナス金利が解除されて短期金利が上昇した分をそのまま変動金利の引き上げに反映させているので、“ロジックが通っている”とも言えます」(塩澤氏)

 ただ、ユーザーに与える印象を考えると、このタイミングでの発表は影響が少なくないのだという。

「実際のところ、私の元下には “借り換えを検討すべきか”という問い合わせが既に何件も届いています。言い方は難しいですが、“悪目立ち”してしまったのは事実でしょう」(同)

 注目すべきは、既存のユーザーの支払額が増える「基準金利」のみならず、新規ユーザーに適用される金利も0.2%引き上げられたことだ。

「他の大手ネット銀行と同じく、ソニー銀行の主力商品のローン手数料は借入金額の2%です。つまり、低金利をウリにユーザーを集め、手数料で収益を確保するというモデルだったわけですが、他行との金利差が開いたことで、同じように新規顧客を集めるのが難しくなったのでは」(同)

 金利競争からは手を引き、例えば「ソニー生命保険」との連携など、別のサービス拡充などで差別化を図るという経営判断なのだろうか。ともあれ、既にソニー銀行の変動金利でローンを組んでいるユーザーからすれば、“先行利上げ”はバッドニュースと言えるだろう。

 一方、政策金利が0.25%へと引き上げられた今、ユーザー全体が恐れるのは“ドミノ倒し”にように各行がいっせいに金利引き上げに動くのではないか、という懸念だ。

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