「利益が前年比80%以上も増加」「アートを強みにブランディング」…なぜ斜陽の「百貨店」はV字回復できたのか

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横山大観、上村松園、川端龍子、藤島武二、らビッグネームが

 まずはその業績について、

「近年はずっと右肩上がりです」

 と明かすのは、三越伊勢丹美術営業部の太刀川俊明部長。

「服飾、宝飾、食品などに比べれば、美術品の売上規模は小さいのが事実。展示には大きな空間が必要で、同一売場面積あたりの売り上げ、いわゆる坪効率がよいとはいえません。それでもアートギャラリーはわれわれにとって、数字に現れない価値を有しています。集客力の高さは他の売り場を助けますし、いいものがいつもそこにあるというイメージは店全体のブランディングに大きく寄与しています。昔も今も変わらず、私どもの百貨店を象徴する存在と言っていいでしょう」

 そう、アートギャラリーを切り盛りする美術営業部は、百貨店として創業した頃から存在する名門部署なのだ。

 有料版では、外商との連携や顧客層の若返りなど、百貨店の復調に大きく貢献しながら、これまであまりメディアでは語られてこなかった「美術部」の秘密に迫っている。

山内宏泰(やまうちやすひろ)
ライター。1972年、愛知県生まれ。美術、写真、教育などを中心に各誌、ネット媒体に執筆。著書に『写真を読む夜』、『大人の教養としてのアート入門』など。

デイリー新潮編集部

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