「自宅から着の身着のままで放り出され…」 アラン・ドロンと事実婚だったヒロミさんが受けた凄絶な仕打ち
着の身着のままで放り出されたヒロミさん
敷地周辺には複数の警察車両や警官のほか、ニュースチャンネル「BFM」のカメラマンの姿があった。
「事前に子どもたちの誰かが知らせていたのでしょう。彼らの準備は周到で、私の携帯電話は使えなくなっていました。警官たちに“友人に連絡をしたいので電話を貸して下さい”とお願いしましたが、誰一人として応じてはくれませんでした」
人種差別か、国民的俳優への忖度(そんたく)か。あまりに一方的過ぎる対応に、ヒロミさんは警察が子どもたちの主張をうのみにしていた可能性を指摘する。
「トイレに行きたいと言っても、即座に“動くな。ここにいなさい”と。“私は何も悪いことはしていない。どうして?”と反論しても無視。門番小屋にはトイレがあるのですが“ダメだ。道端ですればいい”とまで言われてしまって。警官たちが私に悪意を持っていることは明らかでした」
それでもヒロミさんは、アヌーシュカが手にしていた告訴状に、ドロンがサインしたとは思えなかった。
「当然ですよね。だから、アランがこの仕打ちを承知しているのか、私をここから追放することを望んでいるのかを、本人の口から確かめる必要がありました。そこで、警官に“一緒に付いてきてアランに会わせて下さい”と何度もお願いしました。でも、許されなかった。“せめて私物を取りに行かせて”との訴えすら断られてしまいました」
この時、ヒロミさんの手にはショルダーバッグがただ一つ。中身は犬の首輪とリード、ミネラルウォーター入りのペットボトル、携帯電話、財布と現金60ユーロ(約9300円)のみ。ヒロミさんは文字通り“着の身着のまま”で放り出された。
「私が“病院に行く必要はない”と言うのに、なぜか警官たちは、やって来た救急車に私を無理やり押し込みました」
メディア、SNSでヒロミさんを非難する子どもたち
ヒロミさんはモンタルジの病院に収容された。時計はすでに午後8時を回っていた。
「医師や看護師たちは親切で“電話を借りたい”と言うと“好きなだけ使って”と渡してくれました。ですが、医師に“帰りたい”と伝えると“今日は入院させるように警察から言われている”と。警察は病院側に私のことを“精神的におかしい人物”と伝えていたようでした。アントニーと警察との間で話はついており、最初から一晩、私を病院にとどめるつもりだったのでしょう。実際、私はドゥシーでアントニーが私服警官とハグしているのを見ていますから。精神科の医者にはいろいろと質問をされました。当然ですが、“何も問題ない”と診断されて帰宅許可がおりました」
病院を出たヒロミさんは友人宅に身を寄せた。子どもたちによってドロン邸前の道端に捨てられた一部の私物が警察を通じて返還されたのは、それから5日後。その間も子どもたちはメディアやSNSを駆使して、ヒロミさんへの激しい非難を繰り返していた。
〈ヒロミは自分が終日外出する時でも、父親を一日中キッチンの椅子に放置していた。とても耐えられないような状態だった〉
〈ヒロミは単なる家政婦で、つい最近まで給料を受け取っていた。父親が脳血管障害で倒れた後、彼女は世話をし始めて、徐々に立場を大きくしていった〉
〈父はこの女性を私に“連れ(妻)”と紹介したことは一度もない〉
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