同級生が証言する「パワハラ兵庫県知事」の意外な素顔 いかにして「特異な人格」が形成されたのか

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「プライドが高いタイプ」

 東大経済学部卒業後、総務省に入省。一貫して旧自治省畑を歩み、各県府庁の重要ポストに派遣された。

 その古巣の総務省関係者に話を聞くと、先の同級生らと異なった見方を示す。

「プライドが高いタイプだと聞いたことはあります。経歴を見ると、30代中盤にして秘書課秘書専門官になっていますよね。これは結構、ポイントが高い。宮城県の財政課長なども歴任していますし、省内で出世街道を歩んでいたのは間違いない」

 さらに続けて、

「旧自治省系は警察の次に上意下達の縦社会。組織自体がパワハラの塊です。加えて、総務省にカネを握られているものだから、各県庁の職員は中央から派遣されてくる総務官僚に文句を言えない雰囲気がある。若くして地方で重要なポストを務めることで、勘違いしてしまう人がいるんです」

 総務省の独特な土壌が齋藤氏を形作ったと示唆するのだ。2021年、大阪府の財政課長時代に自民党と日本維新の会に担がれて県知事選への出馬を決めた時には、すでに今の人格に仕上がっていたのだろう。

「県政を立て直すのは事実上不可能」

 一連の疑惑に関して、齋藤氏は代理人を通じておおむね否定。その上で、

「県政の立て直し、信頼回復に向けて、日々の業務を一つ一つしっかりと遂行していくことが私の責任だと考えています」

 と、知事の椅子にしがみつく姿勢を隠さない。

 だがしかし、元鳥取県知事で元総務大臣の片山善博・大正大学特任教授はこう喝破する。

「県民や県職員の多くは、齋藤知事に対する信頼をすでになくしてしまっているのではないか。齋藤知事は続投を表明していますが、県政を立て直すのは事実上不可能だと思います」

 元局長の妻は百条委員会宛てに、

〈主人がこの間、県職員の皆さんのためを思ってとった行動は、決して無駄にしてはいけないと思っています〉

 とのメッセージを託した。遺族の切なる願いはかなうだろうか。

週刊新潮 2024年8月1日号掲載

特集「同級生は意外な証言 元局長を自死に追い込んだ『おねだりパワハラ』兵庫県知事の“作られ方”」より

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