同級生が証言する「パワハラ兵庫県知事」の意外な素顔 いかにして「特異な人格」が形成されたのか

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 一連の問題は燎原の火のごとく燃え広がり、今や齋藤元彦兵庫県知事(46)の身をも焦がそうとしているのだが、かつて彼と机を並べた同級生からは意外な声が届く。告発者を自死に追い込んでなお、地位に恋々とする“おねだりパワハラ知事”はいかに作られたのか。

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 真夏日となった7月19日、兵庫県神戸市内の兵庫県庁前には100人を超える県民が集まっていた。

「齋藤辞めろっ、すぐ辞めろっ」

 建物の主に対して、そう一斉に声を張り上げたのである。その中でも目立ったのが、胸に黒い喪章を付けた者、あるいは手に白い菊の花を捧げ持つ者だった。彼らは7月7日、兵庫県姫路市内で亡くなった渡瀬康英元西播磨県民局長(60)の死に哀悼の意を表していたのである。

 発端は渡瀬元局長が今年3月、県議やマスコミ各社に対して齋藤知事の「パワハラ」や「おねだり体質」を匿名の文書で告発したことだった。その元局長が自死を選んだことで、事態は新たな展開を迎えたといえる。

「抗議活動があった19日の午後、兵庫県議会では齋藤知事によるパワハラや贈答品受け取り疑惑を巡り、3回目の百条委員会が開かれました」

 とは、兵庫県政の担当記者だ。

「本来その日は、渡瀬元局長への証人尋問が行われる予定でした。当日は委員から“(県側が)公益通報者保護法違反の調査で手にした、渡瀬さんが嫌っていたプライバシーに関する情報を流布し、脅しをかけて、渡瀬さんはああいう結果になった”という趣旨の発言も飛び出しました」(同)

「コミュ障だからすぐに怒りだす」

 県側が犯人探しの末に、告発者の渡瀬氏に不利な個人情報を手に入れ、氏を揺さぶっていたというのだ。事実ならば前代未聞である。さらに、

「委員会では彼が遺族に託した音声データも公開されました。それは齋藤知事が県内の会合に参加した際、“まだ私、飲んでいないのでぜひまた”などと、県の特産ワインを自身に献上するように関係者に要求するものでした」

 知事は音声公開を受け、自分自身のやりとりだと認め、自宅でワインを飲んだことも明かした上で、

「産業振興の一環で飲ませていただいた」

 と開き直ってみせたが、

「齋藤知事がそのワインについてアピールした事実は、SNSなどでも特段ありません」(前出・記者)

 語るに落ちるとはこのことで、確実に包囲網は狭まっている。さる兵庫県議いわく、

「齋藤知事は“コミュ障”なんですよ。片山安孝副知事が7月12日に辞表を提出した時も“知事はコミュニケーション能力が不足していた”と苦言を呈しています。雑談が苦手で、国会議員や県議会議員、県職員らとまったく意思疎通できていません」

 加えて、

「コミュニケーションが取れないからか、知事はすぐに怒りだす。それだけならまだしも、“俺は怒ったことをすぐに忘れるんや、ハハハ”なんて自慢する。周囲はドン引きですよ」

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