ドラマ再生「ランキング」 「VIVANT」が驚異的な数字残すも…「TVer」がメイン収入にならない理由

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TVerが増え、減る録画派

 かつてならドラマを録画で観ていた人のうち相当数が、TVerに流れていると見られている。

 総務省が13~69歳を対象に行っている調査によると、録画でテレビを観る人がこのところ減っているのである。2018~20年までは平日1日に20分以上、録画した番組が観られていたが、2021~23年は16~18分台に下がった。TVerの伸びと反比例している。

 各種調査によると、録画視聴組は6割から9割の人がCMを飛ばしてしまう。しかし、TVerの広告は飛ばせない。各局にとって録画からTVerへのシフトは良いことに違いない。一方で視聴者側からすると、TVerは予約の手間が省ける。

 特にコネクテッドTV(ネットに接続されたテレビ)でTVerを利用すると、その利便性を痛感する。録画機器より操作が簡単なくらいだからである。

 次に再生回数300万回、400万回は視聴率ではどれくらいに値するかというと、これは換算不可能。なぜなら、第一に視聴率は関東や関西など全国32地区で調べているが、TVerの再生回数は全国単位でカウントしているためである。

 関東地区の個人視聴率の1%は約40.5万人。個人視聴率の数字が9.3%だった「VIVANT」の第5回は関東地区だけで376万6500人が観ていたことになる。これは最後まで観た人の数だ。

 一方、TVerの場合、原則的に1人が繰り返し再生しても、そのたびに再生回数をカウントする。また、完再生率(番組が最後まで観られる割合)は7割前後。最後まで観ていない人もカウントされる。これでは比べようがない。

 また、TVerの再生回数の計り方に着眼した特定の俳優のファンたちが、X(旧ツイッター)を使って「みんなで回し、TVerの再生数ランキングを上位にしましょう」「TVerのランキング上位は目立ちます」などと、呼び掛ける動きが絶えない。

 組織的な再生回数アップの動きは全体から見ると一部だろうが、これではTVerの正確な視聴実態が掴めない。来年10月からはビデオリサーチがTVerやNetflixなど動画の視聴率調査を全国で始め、正確な視聴実態が分かるようになる。それが待たれる。

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