2度の離婚はどちらも妻から…「なぜか捨てられる」 45歳“優柔不断”夫を生んだ少年時代の悲劇

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少年時代のトラウマ

 彼が優柔不断になったのにはわけがある。大きなトラウマを抱えて成長したのだ。会社経営者と専業主婦の両親のもとに生まれた卓磨さんには、3歳違いの兄がいた。兄は学業も運動も優秀で、友だちも多かった。おまけに「イケメンだった」ため、女の子にもモテた。

「僕は鈍くさくて顔もよくない。しかも小学生のときはかなり太っていたので、教師たちからも『きみがあの子の弟?』と言われたくらいです」

 小学校4年生の夏休み、兄とともに東北地方にある母の実家へ行った。いとこたちと川へ遊びに行き、気づいたら卓磨さんは川で溺れかけていた。中学1年生だった兄がすぐに飛び込み、彼を助けた。だが代わりに兄が急流に流されてしまったのだ。

「命は助かったんですが、高次脳機能障害になってしまって。本人が必死にリハビリをしたのでだいぶよくはなったんですが、以前とはやはり違う。兄はあの水難事故を覚えていません。今は父の会社で仕事をしてはいるものの、経営を任せられる状態ではない。そのことで僕はさんざん両親に責められました。父などは『おまえが溺れて死ねばよかった』とまで言った。死のうと思ったこともあります。でも死ねなかった。唯一、当時の担任の先生がものすごく僕を心配してくれて、中学生になってからもいろいろ相談に乗ってくれました。先生が親に話してくれたこともあるんです。でも改善はされなかった」

 家庭の雰囲気も一気に変わった。明るかった父は無口になり、優しかった母は兄につきっきりになって卓磨さんにかまわなくなった。

心の底では「誰かに頼りたい」

 高校は親戚の家から通った。母方の伯父が心配して、彼を居候させてくれたのだ。伯父は「自分の家だと思え」と言ってくれ、伯母は「あなたは自分の人生を大事にしなさい」と言ってくれ、彼は救われた思いがしたという。

「伯父たちは僕に気を遣いすぎていました。ありがたかったけど、かえってつらくもありました。甘えることはできなかった。だけどいつでも心の底で、誰かに頼りたい、誰かにすがりたいという気持ちがある。だから18歳年上の上司である里緒に、ほぼ無理矢理関係を迫られ、あげく妊娠を機に結婚を強要されてもOKしたのだと思います。彼女に引っ張っていってもらう人生もありだなと思った」

 里緒さんと結婚して彼は部署を異動したが、周りからの好奇の目に耐えられずに転職した。妊娠中の里緒さんを気遣い、彼はせっせと尽くした。

「ところが笑っちゃうようなことが起こりました」

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