2度の離婚はどちらも妻から…「なぜか捨てられる」 45歳“優柔不断”夫を生んだ少年時代の悲劇

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【前後編の前編/後編を読む】間男になって「初めて人の役に立った」 “不倫と再婚”で46歳夫が確立したアイデンティティと人間観

 世の中には、結婚と離婚を繰り返す人がいる。好きな人ができると家庭を放ってそちらに突っ走って離婚するタイプもいれば、結婚そのものに疑義を抱いているのに相手にひきずられて結婚し、やっぱりダメだと離婚するタイプもいる。

「僕、過去2度の離婚は妻側からの申し出です。僕自身はなにも悪いことをしていないんですが、なぜか捨てられてきました」

 笠本卓磨さん(45歳・仮名=以下同)は、少し自分を憐れむように言った。自分は悪くない、自分が捨てられたと最初から言う男性は、今ひとつ信用できないことが多いので、慎重に話を聞いていく。

「最初の結婚は、大学を出て入った会社の上司とでした。酔わされて、ほぼ襲われるような形になって、妊娠したと脅されて……」

 話し方からも表情からも、不遜な雰囲気は微塵もない。卓磨さんはどこか不器用で「巻き込まれ体質」なのかもしれない。

狙われた新入社員

 卓磨さんの話によると、入社した年の秋、上司の里緒さんから飲みに誘われた。それまで指導社員がついていたのだが、そろそろ独立してがんばりなさい、そのための景気づけと言われた。指導社員も一緒かと思って指定された店に行くと、里緒さんとふたりきりだった。里緒さんは18歳年上、仕事はできるし部下思いでもあったのだが、卓磨さんへの執着は度を超えていた。周りにはわからなかっただろうが、卓磨さんは彼女の熱い気持ちをひしひしと感じながら仕事をしていたのだ。

「仕事がらみだと逃げられませんよね。でも僕、学生時代も似たような経験があるんです。バイト先の上司に惚れられて、やんわりと断ったら悪口を言いふらされて、結局、バイトをクビになった。結局、僕の優柔不断さが招いたことだとわかってはいるんですが……」

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