WBCチームドクターが指南する体幹トレーニング 「肋骨部が硬い人のチェック方法」「ケガした場合はこう歩け」
新聞紙を足の指で丸める
上半身の次に下半身の動きもチェックしておこう。
歩行にもうひとつ必要なのは、地面をつかんだり蹴ったりする力。これが弱いと、やはりふくらはぎや膝が痛くなる可能性がある。
電車やバスで揺られて倒れそうになったとき、反射的に足先に力を入れて踏ん張り、場合によってはつり革をつかんで転倒を免れる。
こうした「バランスを取る」動作は加齢とともに難しくなる。
この力があるかどうかを測る方法を紹介しよう。
はだしでイスに座り、床に広げた新聞紙を足の指先だけでクシャクシャに丸めることができるだろうか。丸めたら今度は指先だけで元に戻してみる。指先の力が弱いと容易でない作業だ。
石井氏が言う。
「指先の力に不安を感じたら、はだしの時間を増やすのがいいかもしれません。家の中でスリッパを履く生活を送っている方なら、できるだけはだしにしてみるとか。冬場は冷えますので、畳やじゅうたんの上だけに限定してもいいでしょう」
米川医師が補足するには、最近はソールに高反発素材を使って前への推進力を生み出す高機能のシューズが普及し、それを身に着ける陸上競技選手の中には地面をつかむ力が強くない人もいるそうだ。
指先の力をつけることは転倒予防にもつながるので、普段歩くときはそうした新素材の靴などは避けたほうがいいだろう。
お尻の筋肉を意識
下半身の使い方でのさらなるポイントは、お尻の筋肉を意識することだ。
「歩いたり走ったりするときは、できるだけ大きな筋肉を使ったほうが疲れにくいのです。歩くときに使う筋肉では大殿筋、つまりお尻の筋肉の構造が大きい。お尻の筋肉を使うように意識すれば、階段などの負荷がかかるところでも少し楽に歩けるようになります」(石井氏)
人間は動物=動く生き物だ。それだけに日常生活の何気ないシーンで、体を痛めることだってある。
車の運転席から後部座席のものを取ろうとしたとき、肩などにピキッという痛みが走ることがあるが、下手をすれば肩の腱を損傷することも。石井氏によると、この類いのケガは珍しくないという。原因は、体が動くメカニズムを頭に描いていないからだ。
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