WBCチームドクターが指南する体幹トレーニング 「肋骨部が硬い人のチェック方法」「ケガした場合はこう歩け」
体が十分動くうちに体幹を安定させる
「背骨は頸椎から、胸椎、腰椎へとつながっています。このうち胸の部分の胸椎は前に肋骨がついていて全体の剛性が高いのですが、腰や首はそうした“サポート組織”がまわりになく、骨や椎間板だけで頑張っている状態。悪い姿勢や重心のズレが習慣化していると、傷めやすく、不調をきたすことが多いのです」(同)
さて、それを避ける一つの方法として米川医師が挙げるのが「体幹を安定させる」ことである。
「できるだけ早いタイミングで体幹を安定させ、重心のズレを修復できれば、症状が改善することもあります。また、体が十分動くうちに体幹を安定させると、首や足腰の不調などを予防することにもつながります」
一口に体幹と言われても、ピンとこないかもしれない。
体幹を安定させる方法を米川医師に聞いてみると、手をヘソの両脇あたりに置きながらこう言った。
「腹横(ふくおう)筋の周辺を意識しながら生活することが肝要ですね」
腹横筋を意識しながら歩く方法
ここから先は、米川医師のクリニックで理学療法士として患者のリハビリなどを担当する石井斉氏(48)に解説してもらおう。
石井氏は、立った状態で両手をヘソから左右の脇腹にスライドさせ、出っ張った腰骨のあたりで止めた。
「意識するのはヘソと腰骨の中間あたりです。そこに手を置いた状態で、少しお腹を凹ませ力を込めてみてください。手が押し返される場所が腹横筋のあるところです」(石井氏)
実際に手を置いてグッと力を入れてみる。ヘソに重心が来てスッと背筋が伸びる。そんな感覚が得られないだろうか。
「腹横筋は腹部をベルト状に支える筋肉で、脇腹から斜めに走る腹斜筋などとともにコルセットのような働きをして、腰をサポートしています」(同)
腹横筋を意識しながら、試しに歩いてみる。すると伸びやかに、軽やかに足を運べるような気がする。
「それは腹部や背骨がしっかり支えられ、上半身と下半身が連動できているためです。そのとき、自分の頭が上からピアノ線でつるされているとイメージできれば体幹が安定しているということ。腹横筋を常時意識するのは難しいかもしれませんが、1日に何回か思い出してやってみるだけでもいいと思います」(同)
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