「天海祐希」「吉田羊」の例も…遅咲きブレーク40歳「松本若菜」が演じる“西園寺さん”から目が離せない

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伏線は飼い犬の「リキ」

 松本若菜(40)が主演するTBSの連続ドラマ「西園寺さんは家事をしない」(火曜午後10時)が、夏ドラマ屈指の成功を収めている。評判が良い上、視聴率はトップクラス。特に10代から30代前半の支持が分厚い。成功の理由を解き明かす。【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】

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 まず、このドラマは主人公・西園寺一妃さんのキャラクターが抜群にいい。演じている松本若菜が見事にハマっている。

 原作漫画の西園寺さんにはクールな1面もあるが、ドラマ版の西園寺さんは温かいところとユーモラスな面が強調されている。これも成功理由の1つに違いない。

 西園寺さんは38歳で独身。家事に役立つアプリを開発するIT企業「レスQ」のエースであるものの、自分は家事をやらない。

「とことん家事が嫌いな西園寺さん」(第1回)と胸を張るが、やりたくても出来ないのだ。極端に不器用なのである。まれに包丁を使おうものなら、危なっかしくて周囲を青ざめさせる。

 掃除はロボット掃除機任せ。部屋の隅などに溜まったホコリは残ってしまうものの、「死なないから」と気にしない。洗濯機が全自動で乾燥機付きなのは言うまでもない。食事は買ってくるか、宅配で済ませる。

 かといって仕事以外には興味がないかというと、そうではない。そのうえ情が深い。ここがポイントである。西園寺さんの内面を表す伏線として、第1回の冒頭からボーダー・コリーの愛犬「リキ」が登場している。

 西園寺さんは35年ローンで一戸建てを購入した。同時期に保護犬の譲渡会でリキを譲り受ける。家事代行業者で働く高校時代からの親友・宮島陽毬(野呂佳代)は、西園寺さんに犬が飼えるのかと心配するが、きちんと世話をしている。

 愛犬家ならご存じのとおり、ボーダー・コリーは飛びきり賢く、一方で運動が大好きな牧羊犬で、無精な人は飼うのが難しい。愛情を注ぐのを怠ったり、散歩をサボったりすると、たちまち問題行動を起こす。だが、リキは西園寺さんに懐いていた。

 西園寺さんはリキを譲り受けた理由は「初めて会った気がしなくて」。これはキーワードに違いない。リキは保護犬なので愛を欲していた。一方で西園寺さんは自分が大学生のときに母親が家を出てしまい、父親の康平(浅野和之)との関係もうまくいっていない。西園寺さんとリキは似たもの同士なのだろう。

 家を買った西園寺さんは、リキとの快適な暮らしが始まると胸を弾ませていたが、家の賃貸用の部屋に29歳の同僚・楠見俊直(松村北斗)と娘のルカ(倉田瑛茉)が引っ越してくる。

 楠見は妻の瑠衣(松井愛莉)を1年前に病気で失ったシングルファーザー。おまけに住まいが火事になったため、西園寺さんが賃貸用の部屋に住むことを勧めたのである。

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