【パリ五輪】アトランタ五輪「川口能活」を彷彿させる…新守護神「小久保玲央ブライアン」がマリ戦を勝利に導いた“ビッグセーブ”

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圧巻だった細谷のドリブル突破

 それまで後半は専守防衛だった日本が反撃に転じたのが31分の攻撃だった、交代出場のFW藤尾翔太の縦パスに細谷がドリブルで右サイドを抜け出しクロス。ファーサイドでボールを迎えたMF三戸舜介のシュートは自らの軸足に当たってビッグチャンスを逃す。

 しかし5分後、同じような形で右サイドを細谷が抜け出してクロスを送ると、三戸がニアに走り込んでダミーとなってスルー。首を振って周りを見てからのアシストプレーだった。そしてファーサイドでシュートしたFW佐藤恵允の一撃は当たり損ねだったものの、かえってそれが幸いし、GKは強く弾くことができずゴール前のこぼれ球となる。そこに走り込んできたのが山本だった。

「めちゃくちゃ、しんどかったです。(細谷)真大がその前に1本同じような形があったので、入れてくると信じて、あそこにこぼれてくると信じて走り込んだ」と山本が振り返ったように、長距離を攻め上がっての、最後は泥臭く身体で押し込んだような決勝点だった。そして試合終盤になってもスピードの衰えない細谷のドリブル突破も圧巻だった。

小久保が与えたプレッシャー

 アディショナルタイムは5分。大岩剛監督は後半43分に山本に代えてボランチの川崎颯太を5人目の交代選手として送り出す。川崎といえば3月のマリ戦で平河悠のゴールで先制しながら、彼のパスミスから同点に追いつかれ、後半は2失点で1-3と逆転負けした苦い記憶がある。果たしてこのまま時計の針を進めることができるのかどうか……。

 後半アディショナルタイム45+2分のことだった、左CKのこぼれ球をMFムサ・ディアキテがペナルティーエリア外からシュート。これには日本の2選手が果敢にブロックに行ったものの、VARとOFR(オン・フィールド・レビュー)の結果、主審は川崎のハンドとしてマリにPKを与えた。

 PKでプレーが再開されたのはアディショナルタイム45+6分のこと。PKのキッカーはフル代表でもエース格のドゥンビアだ。しかし左下を狙った彼のシュートはゴール枠を捕らえることができず、日本は最大のピンチを脱した。

 ドゥンビアのシュートコースをGK小久保は読んでいたものの、それ以前に90分間の試合中に小久保が見せたファインセーブに、ドゥンビアもギリギリのコースを突かないとブロックされるとプレッシャーを受けていた可能性が高い。

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