白熱する「アメリカ大統領選」に感じる“うらやましさ”…日本は結局、「民意」より「与党内の力関係」なのか
私が選んだトップ
アメリカ大統領選が白熱している。共和党のドナルド・トランプ氏(78)が演説の際に狙撃され、耳を負傷。銃を撃った20歳の男は射殺された。そして81歳のジョー・バイデン大統領は高齢が懸念され、結局出馬を断念。民主党からは、現副大統領のカマラ・ハリス氏(59)が出馬することとなった。
【写真】直接民主制の弊害? まるで大喜利のようになってしまった都知事選のポスター掲示板
我々日本人は連日にわたり、こうしたアメリカの大統領選の様子を、報道を通して見ている。支持者が会場に集まり、候補者を応援する様子はさながらロック歌手のライブのよう。会場で共和党支持者が「U.S.A.! U.S.A.!」と叫び、熱狂している姿を見ていると、少し羨ましくなってしまう。
無論、羨ましいのは、演説会場で大騒ぎできることではない。「自国のリーダーを選ぶ際、国民が直接関与することができる」という点である。ここでは、直接民主制と間接民主制のどちらが優れているということを述べたいのではない。ただ、「私が選んだ国のトップ」という感覚を持つことができるという直接民主制最大のメリットを、自分でも味わってみたいとつい思ってしまうのだ。
もっとも我が国でも、地方自治体の首長は直接民主制で選ぶことができるので、大統領選ほどではないものの、“私が選んだ感”を味わえる。ただしかつて大阪府では横山ノック氏、東京都では青島幸男氏が当選するなど、いわゆる「タレント知事」が勝つ、ポピュリズム選挙も時には起こる。“直接民主制はよくない”と言われる所以であるが、それでも「民意」が反映されたわけで、納得感はある。
「民意」よりも「党内のパワーバランス」
翻って、日本の首相の選出方法である。とにかく「密室政治」臭がプンプンと漂うのだ。自民党だろうが立憲民主党だろうが、政権与党のトップが首相になるという制度設計なので、党の総裁選や代表選が即首相就任に繋がる。そして総裁選、代表選においては、一般党員の投票こそあるものの、党員ではない圧倒的多数の国民の民意は介入することができず、あくまでも党内での存在感とパワーバランスのみが影響する。
今年9月には自民党総裁選が行われる。立憲民主党も同じ時期に合わせて代表選を行う。次に行われる衆院選では自民党が勝つというのが、現在の大筋の見方だ。ということは、自民党総裁選の勝者が次の首相になる。
だが、コレが本当にアメリカと比べてスケールがせせこましいのだ! なぜなら「民意」ではなく、「組織内のパワーバランス」で決まるのだから。これまでの総裁選でもそうだったし、パリ五輪が終わったあたりから、以下のような報道がわんさか出ることになるだろう。
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