トランプ氏が勝てば「1ドル200円超え」の可能性も… 日本経済が受けるダメージを専門家が分析

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「トランプの主張が正しかったと証明されてしまった」

 折しも、民主党候補のバイデン大統領が失言や言い間違いを重ねるなど“健康不安”がクローズアップされていたさなかである。米国旗を背に「暴力には屈しない」と力強くアピールする姿は、11月に迎える本選の勝敗を決定付けてしまったとも思えるのだが、

「事件を受け、共和党員の結束力が一段と強まるのは間違いありません」

 とは、福井県立大学の島田洋一名誉教授である。

「党内には『穏健派』ともいうべき、トランプ氏と距離を取る勢力もありますが、今までのような露骨なトランプ批判はしづらくなるでしょう。さらに、警備面の責任はバイデン政権にあります。これまでトランプ陣営は、演説などの際に警護・警備を強化するよう要請してきており、そんな中で事件が起きたのです」

 シークレットサービスは国土安全保障省が所管しており、

「トランプ氏はかねて『(同省は)しっかり仕事をしていない』と批判しており、今回、図らずもこの主張が正しかったと証明されてしまった。『強いアメリカを作ろう』と訴えれば、割れんばかりの拍手を浴びることでしょう」(同)

 日増しに“撤退圧力”が強まっていたバイデン大統領の去就にかかわらず、もはや「確トラ」状態にあるというわけだ。

1ドル200円超?

 迫りくる「怪人」の再臨。となれば日本もただでは済むまい。元日経新聞編集委員で経済コラムニストの高井宏章氏が言う。

「トランプ氏が再登板すれば、米国内のインフレが再燃するリスクがあります」

 トランプ氏は中国製品への輸入関税60%超をはじめ、輸入品には一律10%の関税を課すと表明している。

「関税による物価の押し上げに加え、移民の受け入れにも否定的なので、労働力不足が賃金を押し上げる可能性が高い」(同)

 さらに、トランプ氏が謳う大幅減税も火種となり得る。2025年末に期限が切れる家計や企業への『トランプ減税』を再選後に延長する意向とみられており、

「コロナ対応の財政支出がインフレを招いたのと似た構図になります」(同)

 もしインフレが再燃すれば、ようやく利下げを模索し始めたFRB(米連邦準備制度理事会)にとって大きな誤算だ。

「米国が利上げを迫られれば、日米の金利差が再拡大し、1ドル180円、ひょっとしたら200円超といった展開になりかねないとみる市場関係者もいます」(同)

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