【警察不祥事もみ消しの実態】「覚せい剤の検査結果が科捜研で逆転」 産経新聞元記者が今でも悔いていること

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第1回《「大手メディアが信用されていないことが問題」 鹿児島県警不祥事に産経新聞元記者が指摘》の続き

 産経新聞元記者の三枝玄太郎氏は、鹿児島県警の元生活安全部長の「内部告発」をめぐる報道を見て、かつての自身の「スクープ」をめぐる苦い経験を思い出したという。良識ある「内部告発」が、警察とマスコミ(NHK)による一種の連係プレー によって潰されたというのだ。一体何が起きたのか。

(全2回の第2回)

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警察の白々しい説明

 7月19日、鹿児島県議会総務警察委員会で、枕崎警察署員の事件(トイレで女性を無断で撮影した)をめぐって、捜査が一時中断した際、枕崎警察署内で「隠蔽ではないか」との声が署員から出ていたことを明らかにした。だが、このときのやりとりが「ザ・警察」であって、思わず吹き出してしまった。

 鹿児島県警の県議会で説明した事実関係はこうだ。野川明輝本部長が何らかの指示をしたのが誤って枕崎警察署に伝わり、捜査が2日間、中断した。

 署内で「中止しても大丈夫なのか」「隠蔽ではないのか」という意見が出たため、枕崎警察署長が県警本部の首席監察官(警察の不祥事を担当する部署のトップ。ノンキャリア警察官が務める)に確認したところ、「伝達ミスだった」というのだ。

 この説明を「そうだったんだろうな」と信じる警察関係者などいるだろうか。長年、警察への取材をしてきた者としては、以下のように見ている。

 野川本部長が捜査中止めいたことを指示したことが、後日、問題になって捜査を再開し、事件処理したため(5月13日になって、建造物侵入と性的姿態撮影等処罰法違反の容疑で枕崎署地域課の巡査部長(32)を逮捕した)、遡及して2日間しか捜査を中断していないことにしたのではないか 。多少なりとも警察の事情を知る者ならこのように考えるはずだ。

メディアの体たらくは目を覆わんばかり

 今回の事件が野川本部長にとってラッキーだったのは、結果的に関係者が逮捕されていることだ。そういう意味では、1999年に発覚した神奈川県警による覚せい剤を使用した警察官の逮捕を渡辺泉郎本部長の指示で見送り、逮捕しなかったケースとは事態の推移が異なっている。この時は、時事通信の報道によって警察の不正が発覚し、本部長以下5人が犯人蔵匿 罪などで起訴された。

 鹿児島県警は、結果的に警察官が逮捕されたことをもって、「これは隠蔽ではない」と強弁できる、と踏んでいるわけだ。

 だが、前回の記事で指摘したように、こうしたケースが水面下で進んでいたにも関わらず、端緒すらつかめずに、遠くの北海道のライターから福岡の独立系メディア に情報が流れるまで気づかなかったという既存の大手メディア、地元メディアの体たらくは目を覆わんばかりだと言わざるを得ない。

 とはいえ、かくいう僕だってあまり偉そうなことは言えない。今でも思い返すと、苦々しい思いになる「不祥事未遂」事案がある。

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