「大手メディアが信用されていないことが問題」 鹿児島県警不祥事に産経新聞元記者が指摘
鹿児島県警が隠した「捜索場所」
鹿児島県警は4月、「ハンター」を運営する中願寺純則代表の自宅を地方公務員法(守秘義務)違反容疑で家宅捜索している。このときに押収した文書から、曽於(そお)警察署地域課のF巡査長(49)が関与していたことが判明したとして、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕した。
発表された際の広報資料によると、F巡査長は2023年8月下旬から2024年1月下旬までの間、容疑者の氏名や事件の対応状況などを記載した「告訴・告発事件処理簿一覧表」が印刷された書面を外部の第三者に見せ、職務上得られた情報を漏らした疑いがあると記されている。
F巡査長がまるで行きつけの店のホステスあたりに「ほら、俺、こんなもの持ってんだぜ」と自慢したかのような軽いノリであるかのような発表になっているが、実は文書が押収されたのは、「ハンター」の記者宅だったわけだ。
これを鹿児島県警は「会社役員の自宅で発見された」と、これもまたぼかしていている。
実はF巡査長が流出させた文書は、「ハンター」に2023年10月、一部をマスキング加工した上で、掲載されているのだ。
この流れを見ると、県警の内部情報を掲載した「ハンター」と中願寺代表の自宅を家宅捜索した鹿児島県警がF巡査長の関与を示す証拠を発見し、逮捕。その際に押収した資料の中から今度は本田前生活安全部長が札幌市のO氏に送ったはずの文書まで発見され、慌てて本田前生活安全部長を逮捕したのではないか、と推察される。
前生活安全部長の義憤
5月31日、本田前生活安全部長が逮捕された際は、単純な守秘義務違反としてしか報道されていなかった。だが、6月5日の本田前生活安全部長の勾留理由開示請求で事態は思わぬ方向に展開する。
「県警職員が行った犯罪行為を野川明輝・県警本部長が隠蔽しようとしたことがどうしても許せなかった」
この告白でマスコミは騒然とする。本田前生活安全部長の陳述によると「私は、捜査指揮簿に迷いなく押印をし、それを野川本部長に指揮伺いをしました。しかし、野川本部長は『最後のチャンスをやろう』『泳がせよう』と言って、本部長指揮の印鑑を押しませんでした」というのだ。
本田前生活安全部長は「実際、私が送った文書がきっかけになったと思いますが、枕崎署の署員の事件は、今年の5月になって、署員が逮捕されることになりました」と勾留理由開示請求で語っている。
この間のハンターのニュースサイトを見ると、出るわ出るわ、鹿児島県警が暴力を振るわれた女性の被害届を6年間、放置していた……とか、性被害を訴えて助けを求めた女性の訴えを鹿児島中央警察署が門前払いにした……等々。
この時期、鹿児島県警は不祥事の連続で、本田前生活安全部長が現役のころから、すでに2件の警察官不祥事による逮捕事案があった。野川本部長は、本田前生活安全部長曰く、独断専行型で、しかもあまり的確な指示をするタイプではなかったようで、本田前生活安全部長が不信感を募らせていたのは、想像に難くない。
しかも本田前生活安全部長が指摘した、「職務を通じて入手した巡回連絡簿を悪用して、ストーカーを繰り返していた」という事件は摘発に至っていない。
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