「大手メディアが信用されていないことが問題」 鹿児島県警不祥事に産経新聞元記者が指摘

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 組織の不正を内部告発した者が、組織から圧力をかけられる――目下、兵庫県知事の件が注目を集めているが、その少し前には鹿児島県警でも同様の構図が見られた。『メディアはなぜ左傾化するのか』などの著作を持つ元産経新聞記者の三枝玄太郎氏は、一連の報道を見て、メディア側にも問題があると指摘する。そもそも地元に支局を持つマスコミは、内部告発が行われるまで何をしていたのか―――。

(全2回の第1回)

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不祥事続出の鹿児島県警

 鹿児島県警が揺れている。国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで鹿児島県警のノンキャリアのトップである本田尚志・前生活安全部長(60)が逮捕されたのだ。それだけでも重大事なのだが、その守秘すべき内容というのが、現職警察官が行った不祥事を野川明輝本部長が隠蔽したという驚愕すべきものだったのだ。

 本田前生活安全部長は、「闇を暴いてください」と書かれた文書を2024年4月、北海道札幌市在住のライターO氏に郵送している。内容は「前県警刑事部長が枕崎警察署の署員の事件(女性を無断でトイレで撮影した)の捜査に関し『静観』するよう指示した」という趣旨のことを書いていたというのだ。

 O氏によると、「文書には公表されていない不祥事3件の概要と公文書が入っていた」という。ただし、彼は札幌在住だったため、「発生場所が遠すぎる」と、この文書を福岡市に本社を置くネットメディア「ハンター」に送った。

 この枕崎警察署員の事件はハンターに掲載されることはなかったが、文書送付の翌月にあたる5月13日、鹿児島県警は枕崎警察署地域課の巡査部長T(32)を建造物侵入と性的姿態撮影等処罰法違反の容疑で逮捕する。

 T巡査部長は当時、枕崎警察署警備課で勤務していた。容疑は2023年12月、鹿児島県内の女子トイレに侵入し、個室内にいた30歳代の女性の姿をスマートフォンで勝手に撮影した疑いがあるというものだった。

 その後の調べで、T巡査部長が2023年3月から12月ごろまで、同じ女性に対して計12回、撮影していたことも判明したという。

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