「バイプレイヤーを主役に抜てき」が流行の理由 来年1月ドラマで市川実日子が初主演【独自】

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バイプレイヤーの潮流

 そのドラマとは日テレ系の「山の麓の宇宙人」で日曜22時半からの枠。市川は1998年にモデルから転じて女優デビューし、2016年の映画「シン・ゴジラ」で環境省の個性的な若手官僚役を演じて鮮烈な印象を残した。これで日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を獲得し、地歩を固めたとされる。

 ドラマ評論家の古崎康成氏によれば、

「華はないけれどヒロインをピシッと引っ張るようなキャラクターを演じてきました。『カムカムエヴリバディ』(NHK)や『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ系)で確かな存在感を発揮した、近年最注目のバイプレイヤーです」

 女優になって四半世紀余り。名脇役たる彼女の主演抜てきにはどんな背景が?

「脇役のイメージを脱却した女優といえば近年では江口のりこさん(44)が代表格ですが、バイプレイヤーの抜てきはいまやトレンドになりつつあります。ヒロインは“親しみやすいか、視聴者の共感を得られるか”が重視される傾向にあるからです。安藤サクラさん(38)や伊藤沙莉さん(30)も、そうした理由で主演級女優として開花しました」(同)

もう一つの意外な理由

 市川の起用には、また別の事情ものぞくという。

「日テレの日曜22時半枠は、原作者の女性漫画家が脚本に異を唱えて不審死を遂げ、波紋を呼んだ『セクシー田中さん』が放送されていた時間です。そうした過去に鑑みて、今回は骨太なオリジナル作にする必要があった。安定感、安心感がある市川さんに白羽の矢が立ったのもうなずけます」(同)

 いまが盛りの20代たちの中に、いきなり食い込んできた40代――。

 人気女優の名が並び、何事も起きていないかに映るドラマ界でも、目を凝らせばジワリと渋い動きが。

週刊新潮 2024年7月25日号掲載

ワイド特集「光と影」より

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