有村架純、迫真の演技に「重くていい」 フジ「海のはじまり」再評価 「浴槽シーン」「ブレンドコーヒー」が意味するもの

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つらい過去から再生

 緻密な演出は他にもあるという。当時の恋人に妊娠を告げた際、弥生は最初、ノンカフェインのコーヒーを飲んでいたが、恋人が去った後、普通のブレンドコーヒーを追加注文した。しかし、一口も飲まずに店を出てしまう。

 海外などでは、妊婦がカフェインを摂り過ぎることにより出生児が低体重となり、将来の健康リスクが高くなる可能性があるとし、妊娠した女性に対して1日当たりのカフェイン摂取量を制限するよう呼び掛けている。

 ノンカフェインコーヒーは妊娠を示唆する一方、ブレンドコーヒーは妊婦をやめること=その後の中絶を暗示していたのかもしれない。一口も飲まなかったのも出産への未練を表していそうだ。

「喫茶店で夏に過去の中絶を打ち明けるシーンでは、店員がわざわざ『ブレンドです』と言ってコーヒーをテーブルに置いています。8年前に元恋人に妊娠を告白した際の弥生の心境が、ここで繰り返されていることが分かります。長い沈黙の後、弥生は『殺したことある。産んでたらいま海ちゃんくらいの子』『罪悪感がずっとあっていい親になれば楽になれると思いこもうとしていた』と打ち明けます。つらい過去から再生のきっかけをつかむまでの複雑な心境の変化を、有村はうまく演じていました。煮え切らない夏より有村演じる弥生に感情移入することによって、このドラマはずっと面白く見続けられそうです」(前出の放送ライター)

 視聴者からは「回を重ねるごとに味わい深い作品になっている」「その後の展開に説得力がある。最後まで見届けたい作品」「重くていい。重たいもの、難しいこと、深く考えることは大切」など再評価の声が相次いでいる。有村の演技と演出が光った第4話。世帯視聴率は第3話の7.1%から7.7%に、個人視聴率も4.0%から4.6%となり前回から各0.6ポイント上昇した。“有村効果”は今後も続くか―。

デイリー新潮編集部

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