「兄は手榴弾で殺された」 来日したウクライナ人俳優が日本で訴えた最前線の危機

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未来を担う世代の命が失われている

 その後、ナザールさん自身も戦闘中に胸に銃弾を受けて戦線から離脱。ウクライナ支援を訴えるため、このフェスに参加したのだ。

「ウクライナでは毎日亡くなる人がいる。特に最前線で戦う20~30代。未来を担う世代の命がどんどん失われています。子ども世代にはそんな思いをさせたくないという思いから、兄の名を冠した子ども支援団体を立ち上げました」

 イベントの途中、会場周辺をSPが取り囲む場面もあった。現れたのはセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使(61)と、オデーサ出身の親族を持つラーム・エマニュエル駐日米国大使(64)。二人は固く握手をして、支援を呼びかけた。

 会場のブースでワインを販売していた女性の思いも切実だった。

「戦争で多くの農場が失われ、ワインを飲む生活も失われた。ブドウ農家は窮地に陥っています。生産者を守るためにも、ウクライナのワインを飲んでほしい」

撮影・西村純

週刊新潮 2024年8月1日号掲載

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