水道料金が値上げ危機? 試算では「年間30万超え」の地域も

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 少子高齢化がもたらす影響は、税収減や社会保険制度の弱体化だけではない。毎日当たり前のように使っている水道についても、負のインパクトがあることが分かってきた。

全国平均で約1.5倍

〈水道料金がハネ上がる!? 経営維持には平均1.5倍へ値上げ必要とEYジャパン試算〉

 そんな記事を東京新聞(Web版)が掲載したのは6月27日のこと。今年4月、会計監査のEYジャパンと「水の安全保障戦略機構」が発表した、将来の水道料金についての共同研究を報じたものだ。

 それによると、2046年度まで、水道料金は全国平均で約1.5倍の値上げが必要とされる。料金格差も拡大し、最も安い場所の20倍になるところも出てくるという。

 そこで、調査にあたったEYジャパンに聞いてみると、

「(調査の目的は)水道インフラを持続させるためのコストを負担する住民の数が減るため、1人当たりの料金を値上げしないといけない可能性があることを広く知っていただきたいと考えました」(担当者)

 一般に水道事業は、自治体が運営し、場所によっては複数の自治体が参加して運営する「企業団」の場合もある。収入源は定額の基本料金と、使った水の量に応じた従量料金だ。基本的に料金収入からまかなう独立採算制が取られており、住民が減ればそれだけ1人当たりの負担が増える仕組みになっている。

 共同研究によると、21年時点での水道料金の全国平均は月額3317円(1カ月あたり20立方メートルを使用した場合)。これが、46年には4895円に跳ね上がるという。

自治体に聞いてみると

 だが、さらに深刻なのは、人口減少のために極端に高くなってしまう場所が出てくることだ。共同研究では全国1243団体を対象にシミュレーションを行っているが、20年後に全国で最も高くなっているのが福島県の中通り南部にある鏡石町で、月額2万5837円となった。この金額は最も安い1266円(静岡県長泉町)の20倍である。年間で30万円超の水道料金はかなり痛い。鏡石町に聞いてみた。

「当町では数年前に、水道整備のために投資を行っており、一時的に赤字となりました。EYジャパンさんの研究結果は、その赤字が毎年続く前提になっている。もちろん、そんなに高くなることはありません」(担当者)

 もっとも、これほど極端ではなくても長期間での値上がりはやむを得ないとしており、他の自治体に聞いても同様の返事が返ってきた。

週刊新潮 2024年7月25日号掲載

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