旧ジャニ勢、今年の「紅白出場」も困難な理由 不透明な「カネ」の流れとNHK元理事の“天下り”問題

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報道色が強い理事会

 また、会長も含めて12人いる理事会の上席者が報道畑の人間で占められていることもスタート社勢と「紅白」の判断に影響しそう。現在の理事には音楽番組畑、ドラマ制作畑の人がいない。

 NHKは民放と違って報道と制作の人事交流が皆無に等しく、お互いに干渉することも避ける。民放のニュースの場合、大物芸能人が絡む事件・事故が扱われる際には、制作や編成が報道に配慮を依頼することもあるが、NHKではあり得ない。

 芸能界の大物が関係しようが、是々非々でニュースとなる。スタート社と「紅白」についての考え方も客観的な判断になるに違いない。

 NHK職員の1人は言う。

「2年前にドラマ制作畑の理事の1人が旧ジャニーズ事務所の顧問となり、視聴者から批判された。この件を局内は気にしている。『旧ジャニーズ事務所と近かったから判断が甘い』と視聴者から言われたくない」

 さまざまな要因から、やはり現時点ではスタート社勢の「紅白」出場は簡単ではなさそうだ。

 ちなみに旧ジャニーズ勢の「紅白」への出場は2014年がSMAP、嵐、TOKIOなど6組。2015年はこの3組とV6、関ジャニ8、Sexy Zone(現timelesz)、近藤真彦(60)の7組、2016年は「紅白」放送日をもって解散したSMAPは出場せず、KinKi Kidsら6組。

 2017年はHey! Say! JUMPら5組。2018年はKing & Princeら5組。2019年はKis-My-Ft2ら5組。2020年はSixTONES、Snow Manら7組。2021年はKAT-TUNら5組。2022年はなにわ男子ら6組だった。

 また、旧ジャニーズ事務所勢が2003年からパーソナリティーとして番組の顔を務め続けてきた日本テレビ「24時間テレビ47 愛は地球を救うのか?」(8月31日午後6時30分)の今年のメイン格にもスタート勢がいない。

 日テレ社員によると、スタート社側に問題があったからではない。だから、嵐の相葉雅紀(41)は「24時間テレビ47」内で保護犬の問題をリポートする。なぜ、スタート勢がメイン格ではないのか。

「スポンサーの存在が大きい」(日テレ社員)。この番組を長年支えてきたスポンサーの中にはスタート社との取引を停止している企業もある。それが影響したという。

 スポンサーの中には日テレとは別に社員たちが募金を集め、チャリティに全面協力しているところもある。その意向を重んじないわけにはいかないようだ。

 一方、スポンサーとしてはスタート社勢が出演する分には構わないものの、メイン格で出るのは歓迎しないということだろう。

 NHKにも民放にもそれぞれの事情がある。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。

デイリー新潮編集部

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