【パリ五輪】二大会連続「兄妹同日金メダル」を狙う阿部一二三・詩 地元神戸の恩師や知人が明かした「お好み焼き屋の常連で……」「兄は努力家、妹は天才肌」
東京五輪で史上初の兄妹同日優勝を果たした柔道の阿部一二三(26歳/66キロ級)、詩(24歳/52キロ級)兄妹が今夜、連覇をかけた試合に挑む。二大会連続の兄妹同日Vとなれば、これもまた快挙となる。
「週刊新潮」では5年前、兄妹を育んだ地元・神戸の近隣住民や恩師に取材を行っている。最強の兄妹はいかに育ったのか。漫画「じゃりン子チエ」を彷彿とさせる故郷の光景とは――。(2019年8月15・22日号記事を再掲載。表現の一部を修正しました)
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神戸にある和田岬は大阪湾に突き出た岬で、南北朝時代には新田義貞軍が本陣を構え、東上してきた足利尊氏軍を迎え撃った要衝の地である。阿部詩(うた)はかの地で生まれ育った。
明治以降、和田岬には造船所が造成され、やがて三菱重工や三菱電機などの工場にとって代わられた。現在の和田岬を歩くと、ところどころに昭和の残り香を感じ取ることができる。
「詩ちゃんはお肉が好き。周りの常連さんたちも、詩ちゃんがいるとすぐ“ママー、肉焼いたって”って言うんですよ。メニュー表にはないんやけどね」
と笑うのは、和田岬駅近くのお好み焼き店「よりみち」の店主、森好理江さん。
「詩ちゃんは結構食べますよ。冬場はおでんもやってるんやけど、最初におでんの具を5、6個食べたあと、焼き物をペロリと平らげてまうね」
そんな詩は理江さんに心を許しているようで、
「うちをおばあちゃんの家やと思ってるみたい。肌着が見えるんちゃうかってぐらい洋服をバタバタさせて涼んだり、店入ってきていきなりスカート脱ぎだすから慌てて止めたら“短パン穿いてるから大丈夫や”やて。うちには孫が4人おるけど、お兄ちゃんの一二三とあわせて2人増えたようなもんですね」
兄の阿部一二三もまた66キロ級のスターである。
店の常連で組織された兄妹の後援会の会長を務める渡部芳幸さんが話を継ぐ。
「お父さんがこの店に来ててね。ママが“この人のお子さんは柔道ごっつい強いんよ”って紹介してくれたんです。ええ、よく応援にも行ってます。いつもいるので、僕のことを2人のお祖父さんやと思ってる人もおる。面倒なんでわざわざ否定しません。もう孫のようなもんやし」
まるで漫画「じゃりン子チエ」の世界である。
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