「炎上しなけりゃ粗品じゃない」 27時間テレビで「ダウンタウンの次のゲームチェンジャー」ぶりを見せつけた霜降り明星・粗品

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実は高校生にも手抜きせず 「現場のチャレンジ」を評価し続けた粗品さんへの信頼感

「面白くなきゃ人じゃない」というフジの現場の殺伐とした緊張感が、平成のスタータレントやスタークリエイターを生んだのは確かだ。でも今回、粗品さんはそうした成功体験を淡々とひっくり返し続けたように見える。

 例えば、「素人いじり」をしない。先輩芸人や旧ジャニーズにもケンカを売る芸風だが、ハモネプパートやクイズ、ダンス企画で共演した高校生たちには辛口を発動しない。かといって素人だからとバカにすることもなく、真剣に挑戦する姿勢を求め、評価していた。

 ハモネプでは単に技術の話だけでなく、チャレンジがあるか、自分のカラーを出しているか、という点にも言及。クイズ企画でも、挑発する形で高校生たちの闘志をあおる。

 また、特定の共演者をいけにえにもしない。「ごっつええ感じ」でのYOUさんや、「はねトび」でミスった北陽の虻ちゃんが、無視されたりガン詰めされていたのは有名な話。お笑い素人や失敗した人を排除するやり口は面白さの純度を高める一方、過度なストレスももたらし、出演者を委縮させてきただろう。

 でも、ヒヤヒヤするお題だらけの大喜利「粗品ゲーム」はちょっと違った。よく見ると答えを言い終わらないうちに正解音を鳴らすことも。スベるとか干されるとか考えず、全力で答える奴が勝ち。粗品さんのその方針が分かった芸人たちには士気がみなぎり、爆笑する回答を連発。最初は尻込みしていたメンバーが口々に「楽しい」と言い始めるのは圧巻だった。

 孤高の天才に見える粗品さんだが、退場する者の痛みも一番知っている人に違いない。どの企画でも、負けた高校の名前をひとつひとつ挙げて健闘をたたえていた。街裏ぴんくさんをローションまみれの階段に落とすときは、「ぴんくさん気を付けて帰って」と体勢が整ってからそっと押し出す。端々に見える気遣いに、24時間テレビよりもよほど「愛」を感じたものである。

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