反捕鯨団体「シー・シェパード」の“創設者”が逮捕「信頼を勝ち得るため、犠牲者のふりをせよ」過激すぎる“エコテロリズム指南本”の中身とは

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ドイツでは逃亡 保釈は認められず

 2011年に61歳を迎えたワトソン容疑者はニューヨーク・タイムズの記者のインタビューに応じた際にはこう言い放った。

「もし私がエコテロリストと言われたらこう言い返すよ。私を逮捕して黙らせたらいい。何の手配も受けていないのだから」

 ワトソン容疑者が日本政府の要請に基づき、国際指名手配されたのは2010年。当初は加盟国に「犯罪に関連していないか追加情報の提供を求める」青手配だったが、2012年、逮捕されたドイツで保釈中に国外逃亡したことで、加盟国に身柄拘束を求める赤手配に格上げされた。

 今回の身柄拘束で、グリーンランドの地方裁判所は逃亡の恐れがあるとして保釈を認めなかった。これまで傍若無人に振る舞ってきた行為の「ツケ」を突き付けられたと言えよう。

 環境保護と動物愛護を訴え、社会に変革をもたらす運動と、人類を傷つけても良いとするエコテロリズムとの間には、明確に越えてはならない一線がある。

 過激な違法行為を続けるワトソン容疑者は、穏健で、地道に訴え続けてきた反捕鯨運動、動物の権利運動に携わる人々の努力や信用性も毀損していることを強調したい。

佐々木正明(ささき・まさあき)
ジャーナリスト、大和大学教授。岩手県一関市生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科(現・大阪大学)卒業後、産経新聞社入社。モスクワ支局長、リオデジャネイロ支局長を経て、運動部次長、社会部次長などを歴任。2021年より現職。8年前はウクライナのマイダン革命やロシアによるウクライナ併合を現地で取材した。専門分野はロシア・旧ソ連諸国情勢、国際情勢に加え、オリンピック・パラリンピック、捕鯨問題などにも詳しい。単著に『シー・シェパードの正体』、『環境テロリストの正体』、『「動物の権利」運動の正体』など。

デイリー新潮編集部

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