雇用調整助成金「1億5000万円」を騙し取った中国系料理店の闇

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アゼット=GOLD醍醐に取材申請

 天生に人材と資産を集約させている理由は、東京労働局がGOLD醍醐の社名を公表したことが原因だと考えられる。

「そもそも社名が公表される前から、着々と準備を進めてきました。アゼットがGOLD醍醐に社名を変更した1月、代表取締役の名前も『安子恒』から日本名の『安澤孝義』に変更されました。さらに2月、GOLD醍醐の所在地が登記上は港区から台東区に移され、新しい代表取締役として揚氏が就任。5月に東京労働局が発表を行うと、天生に従業員や資産などを移して隠し、港区の店舗は賃貸契約をGOLD醍醐から天生や関連会社に移して事業を継続しています。もちろん東京労働局はこうした動きを把握し、関係者に『アゼット=GOLD醍醐』には不正受給分を返すだけの資産が残っているのか、と事情聴取しました」(同・調査関係者)

 アゼット=GOLD醍醐に3項目の質問を送ると、文書で回答があった。第1点は、雇用調整助成金の不正受給が発覚したことに対するコメントだ。

《雇用調整助成金を申請したことで、会社や従業員がコロナ禍の最も大変な時期を乗り越えられました。休業を実施して申請したつもりでしたが、東京労働局から指摘を受けて調査を行った結果、申請の不備が見つかりました。
労働局には不正受給分の返済を自主的に申し出ました。
会社の資金繰りが大変なこともあり、分割の計画を立てて返済を行っており一部は返済済みです》

「風水の縁起担ぎ」との回答

 第2点は、東京労働局にアゼットの社名と安社長の名前を公表され、取引先などに発覚すると困るため、社名をGOLD醍醐に変更、さらに安社長から揚社長に交代したのではないかと質問した。

《社名変更について。
前社長が昔から風水にこだわりが強く、風水の専門家からもアドバイスを受け「社名を変更したほうがよい」との忠告に従い、新社名にすることで心機一転、気持ちを切り替えることが可能になると考えたのが理由です。

公表逃れであるとの指摘については事実無根です。
その証拠に、2024年2月のチャットにおいて「東京労働局による公表は新社長名と新社名が対象になる」との報告に対して「そのために社名変更したわけではない」「気分転換と(風水上の)縁起担ぎのためである」と送信しています。この証拠は取材に対して開示しています(編集部註)。

前社長交代は、前社長が精神的なダメージを受け、代表取締役としての役割を果たせないと考えたために辞任したものです》

 第3点は、GOLD醍醐から天生への資産、従業員の移動は「資産隠し」ではないかと質問した。

《会社の経営状況を認識し、関係者や入居ビルの管理会社と何度も協議を重ね、旧アゼットフードサービスの1店舗を他社に譲渡することになりました。これに伴い、譲渡先会社に従業員の雇用継続を依頼しました。2人の元事務員が退社していますが、他社に転職した旨を聞いています》

註:アゼットから担当記者にチャットのスクリーンショットが送られてきた。

デイリー新潮編集部

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