ガンジス川の汚染度は許容水準の12倍、6億人が水不足に直面、洪水…インド経済の未来は「水」の問題に左右される

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インド株式指数は最高値の水準

 6月の総選挙後もインド経済に対する世界の期待は高まるばかりだ。

 ナレンドラ・モディ首相が率いる与党は単独過半数割れを喫したが、「インド経済のファンダメンタルズと健全な企業収益により選挙の悪影響に耐えられる」との見方から、インド株式指数は最高値の水準で推移している。

 さらに、米JPモルガンが6月末から新興国債券指数に組み入れたことにより、インド国債に海外マネーが大量流入すると確実視されている。試算(6月27日付日本経済新聞)では、今後3~5年の流入額は1000億ドル(約16兆円)規模に膨らむという。

 海外の金融機関もインドへの投資に積極的だ。

 シンガポールの政府系投資企業テマセクは7月15日、インドの金融サービスやヘルスケアなどの分野に今後3年間で最大100億ドルを投じる計画を明らかにした。7月17日付のロイター報道によれば、米金融大手シティグループもインドにおける投資銀行部門の人員増強を計画しているという。

大きな問題を抱えるインドの雇用市場

 グローバル企業のインド進出も加速中だ。米アップルは長年、中国に製造拠点を置いていたが、今や主要製品の14%をインドで生産している。

 台湾企業も中国からインドにサプライチェーンを移している。台湾対外貿易発展協会によれば、台湾からインドへの直接投資額は昨年までの5年間で6億6500万ドル(約1064億円)と、2006年から17年の2億7700万ドル(約443億円)を大きく上回った。

 モディ氏の人気も衰えることを知らない。インド首相府は14日、モディ氏のXのフォロワー数が1億人を超えたことを発表した。その数は現役の政治家の中で第1位だという。

 ブームが続いているインド経済だが、課題も山積している。

 シティグループは7月6日「現在の成長率(年7%)ではインドの年間の雇用創出は800~900万人にとどまるが、国内労働市場に新規参入する若年層を吸収するには年間1200万人の雇用創出が必要になる」との分析を示した。インド政府はこの分析を否定しているが、同国の雇用市場が大きな問題を抱えていることは明白な事実だ。

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