株高の陰で盛り上がる意外な投資先…資産価値の高い「アート」を手に入れるための知られざる3つのポイント

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付き合っていいギャラリーの見定め方は

 では、アートマーケットに乗っている作品かどうかは、どう見分けるのか。マーケットの枠内、しかもできるだけ中心にいるプレーヤーが扱っているものを選ぶのがいい。

 具体的には、しっかりとした実績を持つギャラリーを訪れて、作品を購入するのがいちばんである。

 ただし、取り扱う作品を現代アートに絞ったとしても、アートギャラリーは都内を中心に思いのほか多い。何の予備知識もなければ、どのギャラリーに足を向ければいいのか見当もつかない。ギャラリーの売上や格式のランキングが、どこかに公表されているということもない。

 見極め術を徳光氏に聞こう。

「ギャラリーの良し悪しや『格』をはかる指標としては、どんなアートフェアに出展しているかをチェックするのが一つです。世界各所では毎年アートフェアが開かれています。大見本市兼即売会のようなものですね。数え上げれば千件ほどにもなるでしょうが、権威として認められ、ギャラリー側が望んでもなかなか出展できないフェアは、30件くらいとなります」

 アートフェアの世界最高峰はスイスで開かれる「アート・バーゼル」、それに米国での「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ」。すこし格が落ちて「アート・バーゼル・香港」、英国の「フリーズ・ロンドン」、米国「フリーズ・ニューヨーク」、同じくニューヨークでの「アーモリー・ショー」などがある。

「日本だとこれらに準ずるものとして、2023年から始まった『Tokyo Gendai』があります。これらトップクラスのアートフェアに出ているギャラリーなら、世界のアートマーケットに通じており、信頼が置けます」

その作品に「インパクト」と「発明」があるかどうか

 足を運ぶべきギャラリーが決まったとして、作品とアーティストはどう選べばいいだろう。自分の気に入ったものを買えばいいのはもちろんだが、投資としてのアートを考えた場合には、以下の点にも留意したいと徳光氏は言う。

「作品を吟味するときは、まず作品のインパクトの強さに注目したいです。美術史を学んだり、アートをたくさん見て教養を深めたりした上で 、見た瞬間に自身に衝撃が走るような作品は購入するのにいいと思います。これまでになかった新しい表現が出現しているように思え、“これは発明だ”と感じたなら、なおいい。その作品が美しいかどうかはあまり関係ありません。身体にフィットする服が必ずしも良いわけではないのと一緒で、サイズがあっていなくても “これは良い服だ”と思えればいいのです」

 さらにもう一つ。

「できることなら、アーティスト本人と会って話したうえで、購入するかどうかを判断すべきです。投資家が経営者に会ってからその事業に投資するように、そのアーティストが人として魅力的で好感の持てる人物かどうか。加えて、長く作品をつくり続けられて、量産できるアーティストであるかもチェックしたいところ。年にひとつの作品しか作れません、ではなく、作品を多く流通させられたほうがアートマーケットで存在感を示すことができますし、アーティスト自身にそれくらいのバイタリティがあってこそ、価値を高めていくことができるからです。世界的に評価の高い村上隆さんや奈良美智さん、草間彌生さんに共通するのは全員多作の作家さんであるということです。アンディ・ウォーホルの作品量だってとてつもない数ですよ」

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