株高の陰で盛り上がる意外な投資先…資産価値の高い「アート」を手に入れるための知られざる3つのポイント

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 にわかに注目を集めている「投資としてのアート」。前編「コロナ禍で市場規模が1000億円まで…拡大した日本の「アート投資」の意外な可能性とは」では日本におけるアートマーケットの広がりを現代アートのオンライン販売を行う株式会社タグボート代表取締役の徳光健治氏に解説してもらった。では、実際にどんな作品をどこで買うべきなのか、見極める術を徳光氏から学ぶ。(山内宏泰/ライター)【前後編の後編】

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アートマーケットの構造とは

 資産価値のあるアートかどうかの見定め方を徳光氏に問うと、次の三つのポイントを指摘してくれた。

・アーティストがアートマーケットにしっかりと乗っていること。
・実績あるギャラリーで購入すること。
・アーティストが創る作品のクオリティの高さと量に注目すること。

 これらをひとつずつチェックしてみよう。

 まず一つ目、アートマーケットに乗っているかどうかが、その作品の資産価値に大きく関わってくるという。どういうことか。

 アートに限らず、モノの価格はマーケットが成立していれば上がっていく。つまりは買いたい人と売りたい人がいて、売買の場があり、価値が保証されたモノを安定供給するしくみがあればいい。

 現代アート業界では、さまざまなプレーヤーがそれぞれの立場で活動し、マーケットを形成している。まず供給元であるアーティストが作品をつくる。出来上がった新作は、アーティストが所属するギャラリーで発表・販売される。ほかに、二次的な売買を担うオークションハウスも存在する。業界ではギャラリーでの売買をプライマリー市場、オークションなどでの売買をセカンダリー市場と呼ぶ。

 さらにアーティストの活動や作品を紹介したり評したりして、価値づけをするのが批評家やメディアだ。また、作品の価値を認め展覧会を開いたり収蔵品にしたりすることで、美術史の中に組み込んでいくのが美術館である。そうした動向を眺めながら、コレクターは気に入った作品を売買していくこととなる。

 これらプレーヤーの活動がサイクルとなって、アートマーケットは形成されている。

 購入したいアーティストや作品が将来的にこのサイクルに組み込まれていかないのならば、マーケットで価格が上昇することは見込めず、作品が資産価値を帯びることはないのだ。

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