「“一晩だけ”で終わるつもりが…」 アラン・ドロンと事実婚状態だったヒロミさんが明かす、ロマンチック過ぎる出会い

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“一晩だけ”で終わるつもりが…

 その日から、ドロンはヒロミさんにアプローチを繰り返し始めた。

「断っても、断っても“一緒に食事を”と。当時、私は結婚していましたからそんな気にはなれず、そのたびに断り続けたのです」

 が、相手は名うてのプレイボーイ。手を替え品を替え、誘いは続いた。

「5月のクランクアップを目前にした最終週のある日、アランが思い詰めたような表情で“食事に誘いたい。これが最後だ。もし君が断るなら、今後、君と会うことは決してない”と言ってきました。正直に言えば、アランの誘いに悪い気はしていなかった。彼の思い詰めたような言葉には驚かされましたが、この時、私は初めて誘いにOKを出したのです」

 二人きりで出かけたディナーは、“世界で最も美しい通り”と呼ばれるパリのシャンゼリゼ通りからほど近い場所。セーヌ川に面した観光名所として知られる、アルマ広場を望む瀟洒(しょうしゃ)なブラスリーだった。

「アランは店の常連で、彼専用の席が用意されていました。シャンパンで乾杯し、ゆっくり食事を楽しみました。店を出ると、私たちは自然な流れで近くにあった彼のアパルトマンに向かった。さすがにこの時は“一晩だけのアバンチュールで終わるんだ”と思っていたのですが」

ドロンにパートナーがいることが発覚

 この日の夜を境に、二人の関係は“恋人”に昇華した。ただ、ヒロミさんには伏せられていた事実があった。ドロンはことあるごとに“自分は独身”と話していたが、実際にはロザリー・ファン・ブレーメンとドゥシーの邸宅で同棲していたのだ。

「私がロザリーさんの存在を知ったのは、長女のアヌーシュカが生まれるわずか数日前。90年11月で、それまで私たちは、多い時で週に3回、少なくても1、2回は、彼のアパルトマンで会っていました」

 未入籍とはいえ、ドロンに正式なパートナーがいたこと、その事実をドロンが隠していたことに、ヒロミさんは大きなショックを受けた。

「私がロザリーさんとの関係を問い質すと、アランは“娘のために彼女と別れることはできない”としながら、一方で“彼女はあくまで娘の母親というだけ。僕たちの間にもう男女の関係は一切ない”と弁解する。いま思えば上手にだまされていたのですが、この時の私は彼との関係を続けることを選びました」

 前述の通り、週末はともに仕事は休み。ドロンは金曜の夜にドゥシーに帰り、月曜の朝にパリに出て来るという生活を続けていた。

「フランスは日本とは違い、街中や店先で著名人を見かけても周囲が騒ぐことはありません。プライバシーを尊重して、そっと見守る程度。だから、俳優やタレントでも帽子を目深にかぶるとか、サングラスやマスクで顔を隠す必要もない。私たちも堂々と過ごしていました。もっとも、私はアランのスタッフか関係者と見なされていたのかもしれませんが」

 傍目にどう映ったかはさておき、実際は道ならぬ関係。平穏に見えた日々は、わずか数年で破綻を迎えた。

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