【全英オープン】シャウフェレが最終日に圧巻逆転勝利 入れ替わりが激しかった上位陣、それぞれの敗因

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怒りで心を乱したローリー

 シャウフェレが一度も首位に立たなかった最終日の前半までの間、リーダーボードの最上段には、シャウフェレ以外の数人の選手が躍り出ていた。

 予選2日間を沸かせたのは、アイルランド出身の37歳、シェーン・ローリーだった。彼はすでに2019年全英オープンを制覇したメジャー・チャンピオンだが、今週は開幕前から怒りを露わにしていた。

 親友でツアー仲間のローリー・マキロイが6月の全米オープンで敗北した原因は、マキロイの相棒キャディであるハリー・ダイアモンドがボスであるマキロイと十分にコミュニケーションを取らなかったせいだという批判が米メディアから上がっている。それを知ったシェーン・ローリーは、「血が煮えくり返る」と言葉を荒らげ 、親友のために激怒した。

 そんなローリーが初日と2日目に快走したことは、その怒りがエクストラ・パワーになって勢いづいたのかもしれない。だが、ゴルフ史を遡れば、激しい怒りのままにメジャー優勝を果たした例は過去にほとんど無いと言っていい。

 今大会のローリーも、3日目には77を喫して9位まで後退。挙句に「いくつかのホールは今日のようなアゲンストの風の中では距離が長すぎて戦えない。もっとティを前に出すべきだ」と、コース設定にも激怒していた。

 そうやって怒りで心を乱したことで、彼の全英オープン2勝目の夢は遠ざかっていった。

元天才少年に奇跡は起こらず

 ロイヤル・トゥルーンの大観衆からの拍手と声援を最も多く受けていたのは、英国出身の43歳、ジャスティン・ローズだった。

 天才少年と呼ばれながら17歳でプロデビューしたローズは、2013年に全米オープンを制してメジャー・チャンピオンになり、2016年にはリオ五輪で金メダルを獲得。

「でも、僕は17歳のときから、母国のナショナル・オープンである全英オープンで優勝することをずっと夢見てきた」

 今大会のローズは予選会を勝ち抜いて出場資格を獲得しただけに、それで勝利を挙げることができたら、「トゥルーンの奇跡」としてゴルフ史に語り継がれていたことだろう。

 しかし、ローズの夢はまたしても叶わず、奇跡は起こらなかった。

 3日目に快進撃を披露し、最終日を単独首位で迎えたのは、37歳の米国人選手、ビリー・ホーシェルだった。

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