【全英オープン】シャウフェレが最終日に圧巻逆転勝利 入れ替わりが激しかった上位陣、それぞれの敗因

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目まぐるしく入れ替わった顔ぶれ

 スコットランドのロイヤル・トゥルーンが舞台となった今年の全英オープンは、目まぐるしく変化する彼の地の天候や風と同じように、リーダーボードの上段の顔ぶれも目まぐるしく入れ替わっていった。

 最終日、サンデー・バック9に入るまで1度も首位に立っていなかった30歳の米国人選手、ザンダー・シャウフェレが、あれよあれよという間に2位に2打差で逆転勝利するという少々意外な幕切れだった。

 首位から1打差の通算3アンダー、2位タイで最終日を迎えたシャウフェレは、前半で2つスコアを伸ばすと、後半は11番のバーディーを皮切りに13番、14番、16番でもバーディーを奪い、瞬く間に単独首位へ浮上。最終的には2位に2打差の通算9アンダーで堂々逆転優勝をやってのけた。

 最終日の後半までは水面下から虎視眈々と勝利を狙い、バック9で一気にラストスパートをかけて勝利したシャウフェレの戦い方は、文字通り、圧巻の勝利だった。

優勝無きグッドプレーヤー

 シャウフェレは、日本ではさほど知られていない選手かもしれないが、実を言えば、日本とは縁のある選手でもある。

 父親ステファンはドイツとフランスのハーフ。母親ピンウェイは台湾生まれの日本育ちで、彼女の日本語はネイティブ並みである。息子のシャウフェレは米カリフォルニア州サンディエゴで生まれ育ったため日本語は解さないが、母親の影響もあり、常々「日本が大好きだ」と言っている。

 サンディエゴ州立大学を経て、2015年にプロ転向。草の根のミニツアーを転戦して腕を磨いた後、2017年にPGAツアーに辿り着いた。同年に2勝を挙げたことで、彼の名前と存在は初めて全米レベルで知れ渡った。

 以後、昨年までに通算7勝を挙げたもののメジャー大会では惜敗を繰り返し、「メジャー優勝無きグッドプレーヤー」と言われ続けてきた。そんな中、東京五輪で金メダルを獲得。母親ゆかりの日本の地で星条旗を掲げた息子の姿を見て、かつて陸上競技で五輪出場を目指したものの交通事故に遭って断念した父親ステファンは号泣した。

 しかし、五輪で金メダルは獲れたものの、メジャー・タイトルは一向に獲れず、「メジャー優勝無きグッドプレーヤーのシャウフェレ」という呼称は、その後も続いていた。

 ところが、今年5月の全米プロを制し、悲願だったメジャー初制覇をようやく成し遂げたと思ったら7月の全英オープンでも勝利を挙げ、あっという間に「メジャー2勝のシャウフェレ」と化した。同一年にメジャーで2勝を挙げたのは、2018年のブルックス・ケプカ以来の快挙となった。

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