そうそうたる有名人が「宮田笙子は五輪に出場すべき」とXに投稿してもネット世論は完全無視 謎を解くカギはビートきよしの投稿にあった

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ジャーナリストに殺到した批判

 ジャーナリストとしては、神奈川大学特任教授も務める江川紹子氏(65)が次のように投稿した。

《調査の上、吸ってたならお説教してやめさせる、というのは教育的指導としていいんだけど、ドーピングじゃないし、犯罪でもないんだから、出場停止とか過剰な罰はよろしくない》

 ネット世論の逆風を受けたと明かしたジャーナリストもいる。門田隆将氏(66)は日本体操協会を厳しく批判する投稿を行った。

《NHK杯3連覇の19歳体操女王・宮田笙子が喫煙でパリ五輪を辞退。日本体操協会の所業に絶句。投票権も持つ19歳の体操選手が喫煙で代表辞任に追い込まれる異常さ。厳しく注意し「以後気をつけなさい!」と指導すべき話。五輪に賭けるアスリートの思いを軽んじ、生涯に亘る悔いを残させた協会幹部。頭、大丈夫か》

 ところが門田氏の投稿に対し、異論が殺到したようなのだ。しばらくすると次のようなポストが投稿された。

《体操協会の愚かな判断への私の論評に「法律や取り決めに違反したのだから措置は当然。これを許せば示しがつかない」との批判を多く頂いた。私も厳しい姿勢は当然と思う。だが幼い頃から五輪を目指し厳しい練習に耐えてきたアスリートにとって“死刑”に値する“出場辞退”をこの行為で下すか、という根本問題がある。なぜ“厳重注意の上、罰金50万円”でなく“出場辞退”なのか。所属する順天堂大が深い反省と共に協会への静かな怒りを表した事が印象的だった》

“常習性”に触れたスポニチ

 宮田の辞退は当然と主張する識者、著名人は極めて少ない。大阪府知事や大阪市長を務めた弁護士の橋下徹氏(55)や、元宮崎県知事で衆院議員も務めた東国原英夫氏(66)の投稿が目立つ程度だ。

 著名人は宮田に同情的なのに、なぜネット世論は宮田の五輪代表辞退を支持し、日本体操協会を擁護するのか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「大前提として、ネット世論は極論に振れることが多いという点は確認しておく必要があります」と言う。

「その上で、ネットユーザーは“ルールの遵守”を求める傾向が強いとは言えるでしょう。例えば近年、校則の問題がXなどで議論になることが増えています。理解不能な校則も珍しくないのはご存知の通りですが、それを破った学生に対しては、意外なほど批判的な投稿が多いのです。『たとえ間違った校則であっても校則である以上、まず守るべき。その上で学校や教育委員会に働きかけ、校則改正を実現すべき』という論調なのです」

 ソクラテスの「悪法もまた法なり」を思い出すが、ネット世論に影響を与えたと思われる報道がある。スポニチアネックスが7月20日に配信した「喫煙、飲酒で五輪辞退の体操女子・宮田笙子 以前から素行の悪さ問題視 喫煙で過去に『厳重注意』の証言も」との記事だ。協会は「喫煙も飲酒も1回だけという宮田の説明を信じている」という姿勢だが、スポニチの取材では“常習性”を指摘する証言を得ているという。

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