映画「ブルーピリオド」主演で話題の「眞栄田郷敦」 迫真演技のウラにあった「役と半生がリンクした奇跡」と父「千葉真一」の面影
「ボクは天才じゃない」
将来はプロのサックス奏者を目指し、演じた矢口と同じ東京藝術大学を受験するも不合格に。ところが藝大に落ちたことが俳優の道へと進む転機につながったという。
「高校を卒業後、明確な進路が定まっていなかったゴードンはたまたま兄の(新田)真剣佑が出演する映画の試写会に行き、そこで予想もしていなかった映画への出演オファーを受け、デビューへと至ります。それまで役者という仕事に興味のなかったゴードンですから、藝大に進んでいたら試写会に足を運ぶこともなかったと言われている」(同)
その後は「兄の背中」を追いかけるように俳優としてのキャリアを重ねた郷敦だが、いまやハリウッドでも活躍する真剣佑について、「やっぱりスター気質で天才」「僕はそういうのがないので憧れる」とインタビューに答えたこともあった。
「郷敦は原作者である山口氏との対談で『努力が才能に勝てるかというと、そうでもなかったりしますよね。でも努力して積み重ねてきた人にしか出せない表現や魅力もきっとあるはず』と話し、『僕自身、才能があるというよりも、日々を積み重ねていくタイプ』と自己分析しています。これまで“兄のような華やかさはない”と評されることもあった郷敦ですが、その分、演技力には定評があり、本格派俳優としての将来が期待されている」(前出・映画ライター)
熱量は「父親とソックリ」
今回の映画では、絵を描くシーンに吹き替え(代役)は一切使用しておらず、実際、郷敦はクランクイン前に行われた絵画練習の初日、「6時間ぶっ通し」でレッスンに没頭したという。その熱量は、指導に当たった美術学院の講師が「この調子で頑張れば、本当に藝大に受かるんじゃないか」と驚くほどだったとか。
父・千葉真一も「玄人級」の油絵を描くことで知られたが、実は千葉が絵画に開眼するキッカケをつくったのは郷敦だという。
「ゴードンが高校時代、絵の非常にうまい友だちを千葉さんのもとに連れて来たことがあった。その友だちの描いた絵がまるで“写真”と見紛うような精緻なもので、感銘を受けた千葉さんはソレを機に、みずからも筆を執るようになった。試写会を訪れた知人の一人は、映画でゴードンが見せる絵画への没入ぶりが“在りし日の千葉さんを想起させるようだ”と感慨深げに話していました」(前出・友人)
ハマり役を得て、俳優としてさらなる成長を遂げる息子を千葉はどう見ているか。