「片足を母犬に食われた犬を生きたままゴミ箱に…」埼玉81歳ブリーダーの残虐非道を放置した行政とオークション業者、大手ペットショップの責任

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過去の記録について答えようとしない埼玉県

 なぜこんな無法な業者が営業を続けられてきたのだろうか。関係者や近隣住民の話によると、Aは20~30年前、現在の施設から数十メートル離れた場所でブリーダー業を開業したという。

 関係者はこう話す。

「現在の施設は3つ目。最初に建てた施設は今のところから数十メートル先、2番目は隣にあった。すべて業者に頼まず、自分たちの手で建てた簡易な建物なので、経年で使いづらくなり、その度、Aは土地を買って新しい建物を作ってきた。Aは第一種動物取扱業の登録が厳しくなって以降、登録していないはず。娘名義の登録で営業を続けていた」

 最初に施設があったという土地の登記簿謄本を調べると1989年に購入されていた。Aと取引のあったオークション業者の「プリペット株式会社」は、Aが会員登録した日は「2007年3月27日」、Aの娘は「2012年3月27日」と回答した。

 だが、動物愛護法に基づき施設を管轄し、指導する立場にあった埼玉県生活衛生課にいつからAの施設について把握しているかと聞いても、

「当該施設は2017年に、第一種動物取扱業としてAの娘の名前で登録されている」

 としか答えない。ある近隣住民は「数年前にAと揉めて出て行った元従業員が保健所や警察に杜撰な実態を告発して大騒ぎしたはず」と答えているが、そうした話を含めて過去にA名義で経営していた時の記録について問い合わせても「公表していない」と繰り返すばかりだった。

 そして「過去3年間、動物愛護法に適合していない箇所について12回指導を行なってきた」と言うのだが、指導した内容は「ケージの大きさや犬一頭あたりの使用スペースなどの施設の改修」だけだったといい、「窒息死のような虐待事案は把握しておらず、事件になって初めて知った」。

 関係者がデイリー新潮に証言した杜撰な動物管理や口減らし行為についても「噂としては聞いているが事実としては把握していない」と答えた。

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