妻の連れ子に迫られて、妻の妹と不倫して… 40歳夫の“自己満足”が招いた「人生2度目」の悲劇
ふいの理子さんの訪問
ところが結婚して1年近くたったある晩、理子さんがふいに周一さんを訪ねてきた。結婚後、周一さんはほとんど今日子さんの店には行かなくなっていた。夫が店にいたら、今日子さんだってママとしてやりづらいだろうと思ったから。周一さんは結婚によって、落ち着いて自分の生活をきちんと管理できるようになっていた。
「玄関を開けると、いきなり理子ちゃんが抱きついてきました。『私、あなたを好きになってしまった。苦しくて我慢できない。1度でいいから抱いてほしい』って。僕としては青天の霹靂というか、びっくりして動けませんでした。彼女は無理矢理僕にキスしてきた。あわてて突き飛ばしました。すると彼女はさめざめと泣き出して。悲痛な泣き声でした。こんな僕に体中でぶつかってくるほど、彼女は実は寂しかったのではないか。そう思いました」
もちろん周一さんはいっさい手を出していない。ところが理子さんの襲撃はその日だけではなかった。週に数度、訪ねてくるようになった。そのたびに説得して帰したが、「好きすぎて苦しい。ママより私のほうがあなたを愛してる」と言われ、居座られて周一さんが時間つぶしに家を出ることもあった。
今日子さんがいるところでさえ、意味ありげな目で周一さんを見たり、「あのね」と言いかけて今日子さんの顔を見て「やっぱりいい」と言ったり。
「あるとき、今日子が『あなたと理子、何かあるの?』と言いだした。まさか理子ちゃんに誘惑されているなんて言えない。いや、なにもと口ごもるしかなかった。その数日後、今日子がすごい勢いでうちに飛び込んできて、『理子があなたに乱暴されかけたと言ってる』って。陥れられたんです。いっさい、そんなことはしていない。実は以前から理子ちゃんに誘惑されていたと言ったら、『だったらどうして言わないのよ』って。とにかく理子ちゃんにきちんと話を聞いてほしい、僕はきみに嘘はつかないときっぱり言いました。ここは優柔不断になってはいけないと思った」
「最悪の展開ですよね」
数日後、美帆さんが連絡を寄越した。今日子さんと周一さんの関係をずっと見守ってきてくれた美帆さんにすべてを話した。美帆さんは黙って聞いてくれ、「私から姉に話すから、少し時間をちょうだい」と言った。
「そこからが僕の甘いところなんですが、何度も美帆さんに会ううち、僕が彼女に惹かれてしまった。最悪の展開ですよね。今ならわかるんですが、当時、僕はまだ30歳。男女の機微には疎かった」
美帆さんの仕事に懸ける思いとか家族への感情などを聞くにつれ、自分には美帆さんがベストな相棒なのではないかと考えるようになっていった。同時に美帆さんは、理子さんと頻繁に会って、「周一さんは母親の夫」であることを諄々と納得させていったようだ。
「理子ちゃんはあるときから、憑きものが落ちたようにさっぱりした感じになりました。どうやら大学で同級生に告白されてつきあうようになったらしい。よかったなあと思いましたが、一難去ってまた一難。今度は美帆さんとの関係が深みにはまっていって……。いたずらに今日子を苦しめたくない。だったら今日子とは別れたほうがいいのかもしれない。そう思いながらもなにも言い出せず、今日子の目をかすめて美帆さんに会うような状態が続きました」
[2/4ページ]