三浦春馬さんはなぜ「陰謀論のシンボル」にされたのか 他の陰謀論と毛色が違うポイントも

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「全国春馬運動連合会」を立ち上げ

 三浦春馬さんを巡る陰謀論の「組織化」が行われるようになったのは死後1年余りがたった21年秋ごろ。まず、ある陰謀論者の男性が街頭でのビラ配りやアミューズへの抗議活動などを組織立ててやるようになったという。そして22年下旬ごろ、その男性が活動に引き込んだのが、後に政治団体「つばさの党」代表となる黒川敦彦氏だ。選挙妨害事件で逮捕・起訴され、勾留中の身ながら都知事選に出馬して落選した、あのお騒がせ男である。

「黒川氏は元々、三浦さんの件を“不審死ではないか”と考えていたようで、熱心に活動される方たちの話を聞き交流を持つようになりました。その後、黒川氏は『全国春馬運動連合会』(全春連)という組織を立ち上げています」

 山崎氏はそう解説する。

「一方、元々黒川氏を活動に引き込んだ男性と黒川氏の関係は悪化。男性が創設した団体は内部分裂し、いくつかの団体に枝分かれしていきました。こうした団体以外には、毎年、靖国神社の『みたままつり』に大量の提灯を献納する団体なども存在します」(同)

「他の陰謀論と毛色が違う」

 三浦さんが陰謀論のシンボルと化していることについてアミューズに聞くと、

「当社は、本件に限らず、アーティストの権利を侵害する事案に対しては、引き続き毅然とした対応を行って参ります」

 との回答だった。

 ここ数年で自殺した芸能人は三浦さんの他にも複数いる。なぜ三浦さんの死の衝撃はファン以外にも広がり、陰謀論のシンボルとなったのか。

「三浦さんが若い男性だったという点が関係しているのかもしれません。アイドル的な熱狂と相まって盛り上がっており、他の陰謀論と毛色が違います」(宗教ジャーナリストで「三浦春馬陰謀論」についても取材している藤倉善郎氏)

「春馬のCDをようやく聴くことができた」

 先の卯都木氏は、

「春馬が死んだことに衝撃を受け、知っていくうちに好きになったという人たちが実に2割くらいはいます。また、一部の非常識なファンのせいで“三浦春馬のファンってヤバイよな”と思われることに恐怖を感じ、こっそりとファンを続けている人も多いですね」

 三浦さんの死後、彼の出演ドラマや映画は一切見ていない、と卯都木氏は言う。

「16年付き合って、週2回のペースで会っていた春馬が亡くなったんですから、僕もとても辛いわけですよ。春馬がCDデビューした時にそれを買って僕の車のオーディオに入れて、当時二人で聴いたんです。その時の状態でCDを車に入れっぱなしにしていたのですが、この間、ようやくスイッチを入れて聴くことができました」

 実体がなく、空疎で無意味な陰謀論とは違い、卯都木氏の中には確かな三浦さんの思い出が息づいている。前編「オカルト化する三浦春馬さんの陰謀論 『三浦さんが天国からインスタライブ』という空想記事まで」では、もはやオカルトと化している三浦さんの死を巡る言説について、専門家の解説を交えながら詳しく報じている。

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(相談窓口)

・日本いのちの電話連盟
電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)
https://www.inochinodenwa.org/

・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
https://www.since2011.net/yorisoi/

・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570-064-556(対応時間は自治体により異なる)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html

・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jscp.or.jp/soudan/index.html

週刊新潮 2024年7月18日号掲載

特集「死から4年“陰謀論のシンボル”と化した『三浦春馬』の謎を解く」より

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