オカルト化する三浦春馬さんの陰謀論 「三浦さんが天国からインスタライブ」という空想記事まで

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「普通のファンは…」

 三浦さんのサーフィンの師匠で、現在も三浦さんのファンと交流している「茨城元気計画」代表の卯都木睦(うつぎあつし)氏は、

「普通のファンは、陰謀論を訴えてデモに参加するファンと一緒にされるのを一番嫌がっています。デモなどの影響で“自分が三浦春馬のファンだって人に言えない”と話している人もいました。ファンの間で“あの人をデモの会場で見かけた”などと情報共有し、そうした人と距離を置く人も多い」

 三浦さんの死後、毎号のように三浦さんの特集記事を掲載してきた月刊誌「創(つくる)」の篠田博之編集長もこう話す。

「三浦さんの死についてはいまだに受け止められないというファンも多く、事務所の発表に納得できないという人や、『他殺説』を唱える人たちもいました。そのあたりはファンの間でも受け止め方はまちまちで、今でもアミューズの株主総会の時に会場近くで真相解明を求めるビラをまいているグループもあるようです。ファンの中で多数派ではないと思いますが」

もはやオカルト?

 三浦さんのファンは「春友」と呼ばれる。「創」が「春友」をターゲットにした記事を連続して掲載していることについては、

「4年間続けていることに対して“なぜ”という声が寄せられることもあります。ただ誌面の大半は冤罪の問題など元々の「創」らしい記事ですから、読者には理解してもらえていると思います。困っている人たちに寄り添うというのも「創」の方針ですから」

「創」は20年11月号以降、表紙まで三浦さんの絵になった。また、記事の中には〈ある春友さんの霊能者体験談〉といったものや、〈彼が天国からインスタライブしたら〉として、三浦さんからの“メッセージ”を長々と掲載したり……。もはや「オカルト」ではないのかと思わせられるものも多い。だが篠田氏は、

「オカルトとは違います。ファンの中にも三浦さんについていろいろな空想を働かせる人もいて、その延長に過ぎません」

 と、強弁する。

「有名人が亡くなってファンがずっと悲しむ例は他にもありますが、三浦さんの場合は、それまでファンでなかった人も巻き込み、影響の大きさや持続性を考えれば一つの社会現象といえます。しかも喪失感に襲われたのが、子供が自立し、コロナ禍の中でこれからの自分の人生について模索していた主に60~70代の女性という明らかな特徴があるのですね」

 後編「三浦春馬さんはなぜ『陰謀論のシンボル』にされたのか 他の陰謀論と毛色が違うポイントも」では、三浦さんの死を巡る陰謀論がQアノンなどの組織と結びついていった経緯について、専門家の分析を紹介している。

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(相談窓口)

・日本いのちの電話連盟
電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)
https://www.inochinodenwa.org/

・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
https://www.since2011.net/yorisoi/

・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570-064-556(対応時間は自治体により異なる)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html

・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jscp.or.jp/soudan/index.html

週刊新潮 2024年7月18日号掲載

特集「死から4年“陰謀論のシンボル”と化した『三浦春馬』の謎を解く」より

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