第二の天安門につながりかねないから? 礼賛記事を突然削除…中国「三中全会」に見る「習近平」経済無策と「4期目も続投」の独裁強化

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党人事

 3中全会では前国防相の李尚福氏や、核・ミサイルを運用する中国人民解放軍ロケット軍トップだった李玉超・前司令官、孫金明ロケット軍参謀長の3人の中国共産党の党籍を正式にはく奪した。これは3人が汚職に連座したためだ。このほか、秦剛前外相の党中央委員辞任も発表した。秦剛氏は汚職の関与が疑われたが、辞任を承認したことで、汚職で逮捕されたわけではなく、女性関係など私的な理由で自らが中央委員を辞したとみられる。

 3中全会では18日、今年上半期(1~6月)に不正の疑いで調査や処分をした高級幹部は36人だったと発表された。これは通年で過去最高を更新する勢いで、経済低迷で「反腐敗闘争」を一層推進し、国民の不満を抑える狙いがあるとみられる。

2029年以降も総書記を継続し独裁体制強化

 これまでみたように、習氏主導による党運営は改革開放路線の推進をうたっているものの、その実態は自身の権力基盤強化であり、「習近平独裁」をめざしているといえる。本文冒頭に触れたように、コミュニケでは「2029年の(中国)建国80年までに今回の会議(3中全会)で打ち出した改革の任務を完成させる」と宣言した。これは、自身の党総書記第3期目の任期である2027年を2年も超えて、「改革の任務」が完成する29年以降も総書記職を継続する意思を明確にしたと受け取れるからだ。

相馬勝(そうま・まさる)
1956年生まれ。東京外国語大学中国語科卒。産経新聞社に入社後は主に外信部で中国報道に携わり、香港支局長も務めた。2010年に退社し、フリーのジャーナリストに。著書に『習近平の「反日」作戦』『中国共産党に消された人々』(第8回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞)など。

デイリー新潮編集部

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