第二の天安門につながりかねないから? 礼賛記事を突然削除…中国「三中全会」に見る「習近平」経済無策と「4期目も続投」の独裁強化

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 中国共産党は経済の長中期方針を決める最重要会議である第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)最終日の18日、コミュニケ(声明)を発表。「経済発展」と「国家安全」という相矛盾する目標の両立を目指して、「2029年の(中国)建国80年までに今回の会議(3中全会)で打ち出した改革の任務を完成させる」と宣言した。
【相馬勝/ジャーナリスト】

 しかし、コミュニケでは現在の中国経済の大きな問題点である不動産不況の対策や景気浮揚策、あるいは少子化による人口減少などについての具体的な対策には言及していない。その一方で、「全党全軍全国の各民族や人民は習近平同志を核心とする党中央の周囲でさらに団結しなければならない」と強調するなど、習近平独裁体制の強化が一段と際立つ形となった。

突然消えた「改革家習近平」の特集記事

 3中全会初日の15日、中国国営通信新華社は、中国の習近平国家主席を故トウ小平氏と並ぶ「卓越した改革家」と称賛する評論を報道。公式フェイスブックにも掲載したが、17日には国内のインターネットから削除されるという奇怪な現象が起こった。

 この評論では、46年前の1978年12月の第11期3中全会で改革・開放路線の決定を主導したトウ氏はほぼゼロから改革を始め、一方の習氏は2012年に党総書記に就任した後、改革を進めて中国経済をさらに発展させ、世界経済を牽引したと評価していた。

 いわば、この「習近平礼賛記事」が削除されたことについて、米国のエコノミスト、程暁農氏は米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」に、記事が大々的に報道されたため、習近平国家主席は国民の改革への期待が高まることで、それが実行できなければ、逆効果になるのではないかと心配しているのではないかと指摘。つまり、「改革家・習近平」となれば、経済不振に苦しむ国民が習氏の改革に期待し、思う通りの成果が出なければ、1989年の天安門事件のように民衆暴動につながりかねないことを懸念しているというのだ。

 このうえで、程氏は「中国を取り巻く(社会や経済の)状況全体が混乱している」「彼はそれをいじくり回して修正しようとしており、本当の問題を解決できないことは自身がよく知っているためだ」と強調している。

 それに加えて、習氏は自身が共に「改革家」と呼ばれることで、トウ小平氏や、その部下として改革開放路線を推進した胡耀邦総書記、趙紫陽総書記らと同列に扱われたことに激しく反発し、記事を取り消させたということが考えられるのである。

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