「いまどき電話を使うのはバカ」という人が見落としている“最大のメリット” ビジネスの場でも“電話が有効”と言える理由
電話=ムダ?
電話は不要か必要か。昨今、「電話を使うヤツはバカ」といった空気感が漂うが、これについて考えてみたい。無論、ここでは「高齢者には必要です!」といった世代論を展開したいわけではない。電話が不要だと考える現役世代の、その主張の根拠を踏まえた上で、メリットとデメリットを考えてみたいということである。
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電話不要論の発端は、2017年4月。「電話野郎」というワードが「はてな匿名ダイアリー」に登場し、多くの人の共感を集めたことに始まる。端的にまとめると「メールやメッセンジャー全盛時代に、他人の時間を奪う暴力的ツールである電話をかけてくるヤツはバカ。私はそんな連中を『電話野郎』と否定的ニュアンスで表現する」というものである。
堀江貴文氏も同様の主旨の発言をしているし、若者は「電話は自分のペースを乱すからウザい」と述べ、これは共感されがちである。会社の電話であっても「誰からか分からないから電話が怖い」という意見も、多くの人に喝采を持って迎えられた。
かくして「電話野郎=バカ」「電話=ムダ・オワコン」といった空気感は令和の世に蔓延しつつあるが、ここで今一度立ち止まってはどうだろうか。当たり前だが、電話も我々によって長らく使われてきた最も身近なコミュニケーションツールの一つである。頭ごなしに否定するのではなく、メリットも必ずあるはずだ。そうした観点から改めて電話について考えてみたい。
複雑な展開に
電話不要論者の多くは、電話がかかってくることによって自分の時間が奪われる、と感じているのだろう。が、それは電話だけでなく、メッセンジャーでも同様ではなかろうか。何か文言を送ったらすぐに相手のアイコンが出てきて「……」とメッセージを現在執筆中であることが示される。「おっ、今、返事を書いているんだな」と思い、それを見続けることもあれば、別のサイトを見たうえで「そろそろ返事が来ているかな」とメッセンジャー画面に戻ったらまだあちらはスマホ入力をしている最中。何か返事が来たら「この会話を終わらせるにはどうすべきか……」なんて逡巡する。そこでサムズアップやらハートのスタンプを送って「はぁ~、やっと終わった」となる。
これだって十分に他人の時間を奪ってませんか? そして、実際に返事が来た場合だって、友人同士の「了解」やら「OK」ぐらいであればいいが、ビジネスのメッセンジャーではもう少し複雑な展開になる。例えば会話の内容が、大事な得意先をどの店で接待するか、であるとしよう。
「先方の田中部長ですが、どんなものがお好きですかね?」
「…………田中さんは確か肉料理が好きでした」
「…………肉ってどんな肉ですか?」
「…………私が以前行った店は、豚しゃぶの店でしたが、おいしいおいしい、と言ってました」
「…………それだと豚肉のしゃぶしゃぶが好きってことですか?」
「…………さぁ、そこはよく分かりませんが、少なくとも肉はお好きでしょうね」
「…………焼き肉だと、どうなんですかね? 或いはステーキだと?」
「…………そこは私には分かりません」
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