生活保護が高齢外国人に渡ることに… 年金制度を食い散らかす外国人の「脱退一時金」とは

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日本人の側にも思惑

 ここまでくれば賦課方式の皆年金は、必要なときに取り崩せる定期預金と変わりがなくなってしまう。資金繰りに窮した外国人は、短期間、母国に帰るだけでまとまった金銭を手にできてしまうのだ。

 もっとも、われわれ日本人ですら簡単には理解できない複雑怪奇な年金制度。日本で数年働いた程度の外国人が自力で「抜け穴」に気付き、煩雑な申請をこなせるとは到底思えない。

 そう、この異常な運用の背景には、制度をうまく利用しようとする日本人の“思惑”が見え隠れするのだ。

「外国人が脱退一時金を申請する際、社会保険労務士などが手続きを代行していることが多く、ネットで検索すればいくつもweb広告がヒットします。もちろん脱退一時金は単純出国する外国人にとっては正当な権利ですし、社労士など士業の先生方にとっても正当な業務であることは間違いありません。ただ、中には、外国人労働者を受け入れる雇用主と結託して、脱退一時金を『退職金』や『ボーナス』の感覚で申請させているケースも少なくないのです。実際、外国人を雇用する際に脱退一時金の受給を謳い文句にする業者も散見されますから」

 前述の通り、日本で5年間も働けば脱退一時金の総額は100万円を優に超えることも少なくない。極端な話、数年ごとに外国人労働者に「一時帰国」させることを繰り返せば、雇用主は自らの懐を痛めることなく、まとまった金額を「ボーナス」であるかのように支給することができてしまうのだ。

悪質なスキーム

 さらに脱退一時金の前提を根底から覆す、悪質なスキームも存在する。

 脱退一時金の対象は、あくまで「帰国」する外国人。従って、繰り返し受給させるにせよ、日本から出国することは最低限必要な条件であるはずだった。

 ところが、

「ここまで脱退一時金の申請条件が単純出国に限られていないという問題点を説明してきましたが、実のところ、審査にあたっては『本当に出国したか』すら確認していないのです」

 すでに脱退一時金が「ザル法」であることに異論を差し挟む余地はなかろうが、出国したかどうかの確認もしていないとは、一体どういうことなのか。

「脱退一時金は確かに出国が条件になっていますが、申請時に必要な『出国』を証明するための書類には自治体からの『転出届』が代用されているのです。つまり単なる隣町への引越しでも、転出する自治体に『出国』として届け出れば脱退一時金を申請できてしまう。本当に出国するか担当者が空港に随行するわけでなし、厚労省と入管が連携しているわけでもないので、このような届け出をしてもほとんど発覚することはありません。これを悪用すれば、例えば異なる自治体にある複数の業者が結託して、一方が解雇した外国人労働者をもう一方が雇用するということを繰り返し、定期的に脱退一時金を申請し続けることもできてしまうわけです」

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