オールスター開幕で振り返る有名選手の“落選劇” 「落合博満」は監督推薦から漏れ、「野村克也」はファンの“組織票”に泣かされた
7月23、24日に開催される「マイナビオールスター2024」では、才木浩人(阪神)、田宮裕涼(日本ハム)ら新顔が注目を集める一方で、佐々木朗希(ロッテ)、坂本勇人(巨人)らが落選した。昨年も、前年の三冠王・村上宗隆(ヤクルト)の落選が話題になったが、過去にもまさかの落選劇の主役になった大物選手がいる。【久保田龍雄/ライター】
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13年連続出場の落合を外し、松井秀喜を抜擢
1994年、中日から巨人にFA移籍1年目の落合博満もその一人である。
7月8日、全セを率いるヤクルト・野村克也監督は、落合を監督推薦から外したことを発表。代役として巨人2年目の20歳・松井秀喜の名を挙げ、「当初から(全セの)4番を予定していた。彼は将来日本を代表する打者になる選手。今から4番の自覚を持たせたいというのが考えなんや」と世代交代をアピールした。
落合は前年まで13年連続オールスターに選出され(92年はケガのため出場辞退)、前年も全セの4番を務めていただけに、“オールスターの顔”の落選は、「やっぱり、いつも出ている人なので寂しいですね」(西武・清原和博)などの声が続出し、大きな波紋を呼んだ。松井の球宴史上最年少の4番抜擢も、「4番で起用しようとしない長嶋茂雄監督への当てこすりでは?」と囁かれた。
その長嶋監督は「落合はシーズンで出過ぎるほど出ていますから。オールスターはお祭りでしょ。体を休められるから、本人も喜んでいるんじゃないですか」と軽く受け流したが、須藤豊ヘッドコーチは「巨人のユニホームを着て出ることに大きな意味があるんじゃないか。球宴はすべてのスターが揃う場だから、こういう名前(落合)が必要なんだよ。おかしいじゃないか」と異議を唱えた。
加熱する“落合はずし”報道に、本人の反応は?
落合を外した理由について、野村監督は「知名度を入れるべきか困ったが、成績がもうひとつやし(7月7日時点で、打率.284、9本塁打)、落合を選ぶなら、駒田(徳広=横浜)も広沢(克己=ヤクルト)も、となる。今年は勘弁してもらおうと、心を鬼にして選ぶことをやめた」と説明した。
だが、「落選は意図的」ととらえる者も多く、春季キャンプ前に野村監督が「(巨人は)落合の加入でメリット、デメリットは両極端。悪くすれば内紛もある」と“口撃”し、落合も「言いたい人には言わせておけばいい」と言い返した一件が尾を引いているのではないかという憶測報道もあった。
そんななか、落合本人は「ちょうど良かった。1週間あるし、体を休められるしな。念願が叶ったよ。毎年、出たくないと言っていたしな」と語り、騒ぎを収束させた。
オールスター期間中にリフレッシュした落合は、中日との「10.8決戦」で本塁打を放つなど、長嶋巨人のリーグ優勝に貢献したのは、ご存じのとおり。同年リーグ3連覇を狙った野村監督としては、ライバルチームの40歳の主砲をオールスターに出場させて疲労を蓄積させる“戦略”も可能だったことを考えると、周囲が騒ぐような確執めいたものは、なかったように思える。
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