「史上最低のバチェロレッテ」炎上の原因は亜樹さんの「正直信仰」か 視聴者とも男性陣ともズレが生まれた理由
うそがつけなかったのは男性陣も同じ ハイスペック同士のよく似た「強さ」が広げたズレ
よく、男性は女性を見た目で選び、第一印象で「ナシ」と思った女性は二度と恋愛対象にならない、との言説を聞く。婚活アドバイザーが、いわゆる女子アナ的な服装や対応をするように婚活女性に言い含めるのは、男性側の「恋に落ちるかは第一印象が全て」という傾向をふまえてのことだろう。でも今回の亜樹さんに、「女子アナ」的な要素は全くない。うそをつけない亜樹さん同様に、参加男性側の反応もいまひとつ。初回から司会の坂東工さんに「ちょっと(皆さん)テンション低い?」と突っ込まれる始末だった。
もし亜樹さんが2代目バチェロレッテの尾崎美紀さんのように、見た目も振る舞いも男性ウケを意識していれば、これほどの非難は免れたはず。でも正直信者の亜樹さんにとっては、それは「自分を偽る」ことに他ならない。「普通」と言われて過剰反応していたシーンもあったが、「バチェロレッテ」が「普通」の婚活女子みたいに振る舞うのは違うでしょ、という意識もあったのではないだろうか。
番組はコンセプト通りに成立させたいが、自分にうそはつきたくない。亜樹さんのその態度は、恋愛リアリティーとは実に相性が悪い。ちょっとしたお世辞や思わせぶりな駆け引きがあってこそ盛り上がるのに、男性陣も戸惑ったことだろう。
男性たちの仲が良すぎるとの指摘もあったが、彼らにしてみれば「恋愛」ではなく「自己成長」に目的を切り替えるしかなかったのではないか。その気もない恋愛で消耗するより、帰国してからも楽しかったと言える思い出づくりでちょうどいい。競争より協調を選んだほうが、ずっとメリットがあると考えたとしてもおかしくない。
「私を取り合ってバチバチしてよ」と、自分を変えようとせずに積極性を求める亜樹さんと、「ここで吸収できることを吸収してから帰ろう」と、消極的な撤退に切り替えた男性陣。どちらも誰に何を言われようと、自分の選択は正しいと突き進む力が強いからこそ、綱引き状態で距離が縮まることがなかった。そういう意味で亜樹さんと男性陣は実に似たもの同士のハイスペックである。男性にも「正直さ」を求めると自信満々だった亜樹さんが、参加者から口々に「正直好きとはいえない」「正直に言うと迷ってる」と言われる度に顔をこわばらせるのは、ホラーじみていた。
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