作家生活40周年の井上ヨシマサが語る、小泉今日子や少年隊、郷ひろみら豪華顔ぶれへの楽曲提供秘話「ミポリンの曲をカッちゃんが褒めてくれたことがきっかけ」
郷ひろみへの提供曲は本人も喜んでくれた。最近は「海外が近くなった気がする」
そして、ラスト10曲目は、郷ひろみに提供したスローバラードの「バックステージ」。大御所の郷ひろみとは、どういう流れで仕事をするようになったのか尋ねてみた。
「‘00年頃、郷さん作詞作品の作曲やアレンジを担当したのが最初で、その後も事あるごとにお声がけいただいて。‘16年には、サントリーホールで郷さんと東京フィルハーモニー交響楽団との1日限りのコンサートがあって、そのための曲を作ってくれないかとお願いされました。何かのリハーサルを見学した時、マネージャーさんが郷さんをバックステージからじっと見つめている姿に感動し、郷さんを支えているスタッフやファンのみなさんにもスポットライトを当てた歌を作りたいと思ったんです。この歌は、ご本人もとても喜んでくださいました」
全10曲、豪華な顔ぶれとなっており、ライブで聴きたくなる人も多そうだが……
「こんなすごい人達を一気に集められるわけないじゃないですか!(笑) でも、今年の8月18日に何かしようとは考えています。例えば、制作時のエピソードを話しながらライブもするとか。10人全員は大変だけど、1人か2人なら……楽しみにしていてください」
最後に、最近の音楽事情について尋ねてみると、「海外がずいぶんと近くなった気がする」と明るく返してくれた。そのわけを尋ねてみると、
「今、マレーシアや中国などアジアのAKB48姉妹グループがAKB48のカバーするためのリアレンジを、何曲も引き受けているんです。例えば、メロディーに合わせて語尾が上がると意味が変わってしまうこともあり、メロディーの上げ下げも調整しなくちゃいけないので大変です(笑)。
でも、AKB48の仕事を始める前は、移住して海外で活動しようと思っていたのに、それから20年近く経って、自分の曲が海外で聴かれているなんて……実は想定内です。秋葉原発の日本独特の文化である「アイドル」は、もしかしたら国境を越えられるかも!と当時から思っていましたから。 これから10年後、このSpotifyの人気曲ランキングも世界レベルできっと大きく変わっていますよ!」
取材当日は7本の取材を、合計9時間以上受けていたという井上。本取材はそのうちの6本目だったのだが、90分間、常に周囲を笑わせながらも、緻密に作業を進めているというエピソードの連続で、エンターテイナーでありつつ、マエストロでもあるという彼の多才さが伺える。これを機に、井上本人のキャラクターのよさが広く知られるところとなり、自身名義のアルバムも多くの人に聴かれることを大いに期待したい。
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《INFORMATION》
CDアルバム『再会 ~Hello Again~』発売中!
【収録曲】
1. Someday(小泉今日子・井上ヨシマサ) 作詞:美夏夜 作・編曲:井上ヨシマサ
2. EXCUSE(植草克秀・井上ヨシマサ) 作詞:及川眠子 作・編曲:井上ヨシマサ
3. Rosa(中山美穂・井上ヨシマサ) 作詞:一咲 作・編曲:井上ヨシマサ
4. 旅立つ日~完全版(松山優太・井上ヨシマサ) 作詞:秋元康 作・編曲:井上ヨシマサ
5. ブルーウォーター(森川美穂・井上ヨシマサ) 作詞:来生えつこ 作・編曲:井上ヨシマサ
6. GIFT(広瀬香美・井上ヨシマサ) 作詞・作曲:広瀬香美 編曲:井上ヨシマサ
7. Everyday、カチューシャ(高橋みなみ・井上ヨシマサ) 作詞:秋元康 作・編曲:井上ヨシマサ
8. サステナブル(矢作萌夏・井上ヨシマサ) 作詞:秋元康 作・編曲:井上ヨシマサ
9. 25ans(野村義男・井上ヨシマサ) 作詞:野村義男 作・編曲:井上ヨシマサ
10. バックステージ(郷ひろみ・井上ヨシマサ) 作詞・作曲・編曲:井上ヨシマサ
(取材・文:人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)