作家生活40周年の井上ヨシマサが語る、小泉今日子や少年隊、郷ひろみら豪華顔ぶれへの楽曲提供秘話「ミポリンの曲をカッちゃんが褒めてくれたことがきっかけ」

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新アルバムで小泉今日子や植草克秀とデュエット、選曲に込めた想いとは

 では、ここからは40周年記念アルバム『再会 ~Hello Again~』について語ってもらおう。

 本作は、これまで作曲や編曲で関わった楽曲の中から10曲をオリジナル・アーティストとデュエットするという企画だが、なんとこの40周年では、本作を含め3枚のアルバム制作が予定されているそうだ。

「アルバム3枚分、自分で歌って、作曲や編曲、さらにマスタリングまでして、作詞も何曲かして、ある意味アイドル以上に働いているかもしれません(笑)。さらに僕は、楽曲提供のほかに、自分で歌った曲もリリースしているんですね。秋元(康)さんからは、“そんなのやっていないで、早くAKB48の曲を書いてよ”ってよく言われるんですが、“自分の音楽を並行してやっているからこそ、AKB48の曲でもいろんなアイデアを盛り込めるんですよ”って、いつも反論(笑)しています。

 それに、’80年代にコスミック・インベンション(井上はキーボードを担当)というバンドをやっていた時、インストルメンタル中心のバンドから、徐々に歌モノをやるようになっていった中で“歌モノもやるなら、作って頂いた楽曲ではなく自作曲を自分で歌いたい、”と思ったのがソロ活動のきっかけなんですよ。自分が全部責任を持てるものを作りたいと、当時のディレクターで今もお世話になっている田村充義さんに相談していたのですが、それを実現するにはあまりにも時間がかかるし、生活もしていかなくちゃいけない。そのうち、’85年にKYON2(小泉今日子)のアルバムに“曲を書いてみる?”と言われて楽曲提供を始めたら、そこから作曲の仕事が増えていったけど、その前から自分のアルバム『JAZZ』(’87年)の構想はありました。だから、“作曲家が歌っている”んじゃなく、“ソロアーティストとして歌も作曲もしている”という意識がありますね」

 アルバム『再会 ~Hello Again~』は小泉今日子に提供した「Someday」から始まる。小泉とはシングル「Smile Again」の提供がリスナーにはおなじみだが、

「今回は『Someday』を選びました。やはり、この曲で、“自分自身で歌えるものを作って”と田村ディレクターに言われたことが出発点なので。今回は、女性と同じキーで歌うか、その1オクターブ下で歌うか、あるいはハモるか、試行錯誤して大変でした(笑)」

 実際に楽曲を聞くと、井上の歌うパートが1曲の中で大きく上下していて、その細かい配慮にも感心してしまう。

 続く2曲目では、少年隊が’93年にリリースした「EXCUSE」を植草克秀とデュエット。息の合ったパフォーマンスから、二人の仲の良さがうかがえる。

「これは確か『Rosa』(後述のようにオリジナルは中山美穂)をカッちゃんが、“カッコいい”と称賛してくれて、そこからオファーが来たんですよ。少年隊メンバー三人と打ち合わせの際、僕は“着飾らない男性像を描きたいとご本人達に伝え、『EXCUSE』や『お好み焼き』などを作りました」

「EXCUSE」のほうは、“逢えなくたって好きだから”と、ひと時の恋をEXCUSE(弁解)して元の恋人に戻ろうとする身勝手な男の本音を書いたダンス・チューン(井上は作曲を担当)。「お好み焼き」は、ソース顔の錦織、しょうゆ顔の東山、ケチャップ顔の植草が、“お好み焼きに何をかけるか”で論争するというジャズテイストのクールな楽曲(井上は作詞・作曲・編曲を担当)。確かに2曲とも、カッコよさで酔わせるそれまでの彼らからは予想できないほどの奇抜な仕上がりだ。ただ、少年隊には「EXCUSE」と同じ(作詞:及川眠子)×(作曲:井上ヨシマサ)コンビの作品で、「PGF」というノリのいいポップなナンバーもあり、こちらはSTARTOENTERTAINMENTのジュニア達に歌い継がれるほどの大人気曲だ。こちらをカバーする案もあったのだろうか。

「今回は『EXCUSE』か『PGF』、どっちを歌おうかと話して、今も“少年隊の曲”というイメージがある『EXCUSE』に決めました。今回、二人で歌ったことで、さらなる少年隊の魅力を伝えるきっかけになればいいですよね」

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