作家生活40周年の井上ヨシマサが語る、小泉今日子や少年隊、郷ひろみら豪華顔ぶれへの楽曲提供秘話「ミポリンの曲をカッちゃんが褒めてくれたことがきっかけ」

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記録と記憶で読み解く 未来へつなぐ平成・昭和ポップス 井上ヨシマサ(全2回の第2回)

 この連載では、昭和から平成初期にかけて、たくさんの名曲を生み出したアーティストにインタビューを敢行。令和の今、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービス(サブスク)で注目されている人気曲をランキング化し、各曲にまつわるエピソードを深掘りすることで、より幅広いリスナーにアーティストの魅力を伝えていく。

 今回は、作家生活40周年となる井上ヨシマサへのインタビュー後編。前編では、彼の手がけた楽曲限定でSpotifyの人気曲について語ってもらったが、後編では40周年アニバーサリー企画アルバム第1弾の『再会 ~Hello Again~』を中心に伺っていこう。

 その前に、1988年に光GENJIに提供したシングル「Diamondハリケーン」について尋ねてみた。本作は2024年現在、未配信だが、CDシングルは累計売上68万枚の大ヒットとなった。しかし当時、「STAR LIGHT」 「ガラスの十代」 「パラダイス銀河」 とASKA(「STAR LIGHT」はCHAGEとの共作)が手がけたメガヒットが3作続いた後の勝負作で、相当のプレッシャーがあったのではないかと気になっていたからだ。

「この時は、コンペがあったと思うのですが、普通ならプレッシャーで実力が発揮できませんよね?僕はね……できちゃうんですよ(笑)。東京オリンピック2020の聖火リレーのBGMが選ばれた際もそうですが、全国民が聴くなんて、ものすごいプレッシャーのはずですよね?僕の心境といえば、みんながどう聞くか? とか、選ばれなかったら? とかいう雑念は一つもなく、ただただ聖火リレーの曲を書けるんだ!と。希望にあふれるその時の気持ち、そのものを書くんだ!という思いで作りました。だからこそ聖火リレーの「希望の道を繋ごう」というテーマにぴったりな曲になっています。 どう見られようとか、決まる決まらないを意識した時点で、書かなければならない物の本質を見失ってしまうのです」

 ちなみに、AKB48でも最新作「恋 詰んじゃった」が井上の作曲・編曲シングル表題曲としては16作目。楽曲制作には多くの作家が候補に挙がるであろう中で、これだけ多くの作品を依頼され、ヒットに導いている理由は、彼が“勝ち抜くチカラ”を意識していないことに他ならない。

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